「ルパン三世」
漫画やアニメの実写化は今や珍しくないが、一方ではアンタッチャブルな作品も存在する。
「ルパン三世」
モンキー・パンチの漫画であることは今更説明するまでもないが、漫画もアニメも色々なクリエイターによって作られている。
それらは賛否はあるものの、それなりに受け入れられている。
しかし、実写となるとそう簡単にはいかない。
「SMAP×SMAP」でコントでやっている分には全く問題がないが、真剣に実写映画化となると相当ハードルが高い。
まずキャスティング。
漫画やアニメも色々なキャラデザインが存在するが、実際の役者が演じるとなると、どうしても違和感が出てくる。
さらに、アニメや漫画だと適当にごまかしができるものが、実写だと生々しくアニメでOKでも実写ではかなりの不自然さが出てくる。
アニメ的表現もそうだが、そもそも今の世の中において怪盗というものは成り立つのか?
そもそも怪盗は何を盗むのか?
ここ最近TVスペシャルも含めてルパンが狙う物はお宝と称する美術品が多い。
昔は現金も盗んでいたが、今やそんなものを盗むことはない。
確かにネットの普及により、現金でなくてもよく、数字のやりとりだけになってしまった。
極端に言えば「ルパン三世」の世界は1970年代に存在しているものであり、21世紀で成り立たせるためには、相当の昇華が必要となってくるのだ。
かつて実写映画というと「ルパン三世 念力珍作戦」というのがあったが、これはもうコメディとして成立させており、真面目な怪盗物は最初から捨てている。
それはイオンプロの007が全盛期の時代に、真っ向勝負をさけてコメディ色を強くした「カジノ・ロワイヤル」みたいなものだ。
「ルパン三世」の実写映画化の話は数年前から噂になっていた。
それらはネタだと思われていたが、2014年に劇場公開されたので、ネタではなかったということだろう。
しかし、できた映画は明らかにネタ映画だ。
古代ローマの時代の宝石クリムゾン・ハートは現在、光の首飾りと真紅のルビーに分けられ、それぞれアルセーヌ・ルパンの相棒として名を馳せた老盗賊ドーソンとアジアの闇社会を牛耳るMr.プラムックの所有物となっていた。
互いに相手の秘宝を狙い合う2人だったが、Mr.プラムックがドーソンの暗殺に成功し、首飾りも手に入れる。
ルパンはドーソンの仇をとるべく、秘宝の奪還に乗り出す…って話なのだが、何かが違う。
そもそもルパンって組織にいる人間じゃないんじゃないの?
五右衛門が「つまらぬものを斬ってしまった」とか言って斬ってない。
予告編でもお馴染みカーアクションは、車を真っ二つに斬ってこそ斬鉄剣でしょ。
さらに盗みも力業すぎ!
敵の本拠地に乗り込むのに銃撃戦って、もうちょっと頭も使おうよ。
いや、もちろん色々な話があって良いのだけど、作品の精神はきちんと守るべきだし、それ以前に妙にテンポが悪い。
やっぱこの手の作品って勢いでテンポよく見せないとダメでしょ。
ジャッキー・チェンの「シティーハンター」くらい弾けても良かったと思う。
ジャッキー・チェンの「シティーハンター」くらい弾けても良かったと思う。
気になるキャスティングはルパン三世役に小栗旬、次元大介に玉山鉄二、石川五ェ門に綾野剛、峰不二子(B99.9-W55.5-H88.8)に黒木メイサ(B80-W60-H85)、銭形警部に浅野忠信。
小栗君は原作のキャラに似せるようにしているが、しゃべり方まで真似るのは少し失笑かな。
あれじゃあ、新春かくし芸大会だよ。
あれじゃあ、新春かくし芸大会だよ。
黒木メイサはいいんだけど、もうちょっと胸がないとダメだあぁああああ!
そう考えると腹幹恵(B94-W61-H88)が巨乳でアクションもできて妥当か?
監督は「VERSUS ヴァーサス」「あずみ」の北村龍平。
この人、低予算で小作品はいいのだど、大作は向かないのかも。
一応、アニメでお馴染みのシーンも再現していたし、意外にも緑色のジャケットの格好がでてきたのには驚いた。
お馴染みのテーマ音楽は諸事情で使えないけど、それ程気にならなかった。
何故なら「007/ネバーセイ・んバーアゲイン」で同じように音楽が使えない、ガンバレルが使えない等の制限があったから。
現在で泥棒物は成り立たないのか?と思ったけど、「ミッション・インポッシブル」が「ルパン三世」の要素を満たしており、必要なのは制作側のスキルかもしれない。
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