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2014年6月20日 (金)

「ぼくたちの家族」

Bokutachi  子供の頃は、死は遙か遠くのことであり、ドラマや漫画の中のことだと思っていた。
 いや、もちろん死についての概念はあるが実感はわかなかった。
 だからこそ、すぐに「死ね」とか言ってしまうわけだ。
 ところが、そのうちに周りで死んでいくことが多くなっていく。
 ある時期までは結婚式ラッシュだが、どこかのタイミングで葬式の方が多くなっていく。
 さらには自分の親が昔に比べてとてつもなく老けてきたことに気づく。
 自分が年取ってくるから、親だって年取るのは当然だ。
 さらに若い時は健康体であっても、予想もしない病気だったり、痴呆症になったりしてしまう。
 そして、これは予想以上の苦行であり、映画やドラマで見ている難病ものとは全く違う。
 何故なら映画やドラマはそのうちに終わっていくが、実際は死ぬまで果てしなく続くものなのだ。
 
 郊外の一軒家に暮らす家族。
 父親は自営業で、母親は専業主婦。
 2人の息子の長男は、大手電機メーカーに勤めていて、結婚を機に家を離れて暮らしている。
 次男は1人暮らしをしているすねかじりの大学生。
 ある日、母親に脳腫瘍が見つかる。
 余命1週間。
 記憶障害を起こし、家族のことさえも覚えていない。
 そして発覚する事実。
 父親は社長とはいいならも多額の借金を抱えており、母親はサラ金に手をつけていた。
 母親を治せる医者を探しながら、家庭の問題を解決することは果たしてできるのか…。
 
 
 また難病物か。
 奇跡なんか起きないんだよ。
 そんな半分バカにしてネタとして観にいったのだが、意外や意外、かなりよくできた家族再生ドラマだった。
 難病物としてありがちな露骨な泣かせものではない。
 そして、重苦しい雰囲気はない。
 むしろ、時々ユーモアを感じさせるところもある。
 登場人物の何気ない動きが、さりげなく性格を表している。
 あ~こんな人、いるなあと思わせるところもかなりリアルだ。
 淡々とした感じだが、だからこそ意外なところで泣けたりする。
 それも押しつけがましくなく、極めて自然にだ。
 見た目の派手さはないけど、地味に染みる傑作!
 出演は長塚京三、原田美枝子、妻夫木聡、池松壮亮。
 妻夫木、「東京家族」とかぶりまくり…というツッコミはなしで(笑)
 原田美枝子(B86-W60-H88)がもうすっかり老けたのにはびっくりした。
 「トラック野郎」に出て、瑞々しかった彼女は遙か昔のことだったんだな。
 監督は、自分の中での2013年の日本映画のベストテン第1位の「舟を編む」の石井裕也。
 誰かが倒れて今まで知らない家族の秘密が出てくるのは、実際に自分も経験したけど、ありえることなのだ。
 そう考えると、こっそり書いているポエムとかは残すか、死亡確認後、即消滅する仕掛けが必要かもね。

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