「大統領の執事の涙」
ホワイトハウスで歴代大統領7人に仕えた黒人執事の物語。
公民権運動やベトナム戦争、果てはオバマ大統領まで、彼の生き様=アメリカの歴史だったりする。
人種差別はリンカーンの奴隷解放で全て終わったと思われがちだが、実はほんの30年前くらいまでは続いていたっぽい。
主人公は、白人に父親を殺され、ハウス・ニガー(家働きの下男)として登用され、白人に仕える作法を叩き込まれる。
その後、色々あって高級ホテルのボーイとなり、仕事ぶりが認められ、ホワイトハウスの執事に大抜擢される。
執事はその仕事柄色々な情報を知ることができるが、常に空気のように存在を消し、見ざる聞かざる言わざるを徹底しなくてはならない。
彼もそれを徹底し、歴代大統領たちの信頼を獲得していく。
一方、家庭では白人に従順に仕える彼に反発するように、長男が公民権を求めて過激な反政府運動に身を投じていく。
この親子の対比が興味深い。
当然、父親はお祖父さんの仕事=奴隷だったので当然、辛い時代のピーク。
一方、息子はそんな時代が終わった後なので知ったこっちゃない。
何しろ大学まで進学してるのだから。
この2人の考え方が違うのは当然かもしれない。
この2人が果たしてお互いの理解ができるのか?
これは最後、泣かせる展開なので必見!
そして、アメリカ近代史の流れ。
歴代大統領の政策が人々の生活に大きく反映していく。
カーター時代あたりからだと何となく覚えているので、ああ、そういえばこんな時代だったなあと振り返ることができる。
ちなみに、この映画では駐日米国大使のキャロライン・ケネディはまだ子供だ。
この映画でもネタになっていたけど、昔は黒人の大統領が出てくるとは夢にも思わなかった。
かつて「ルーツ」というドラマがあったけど、この映画は違う形で近いと思う。
主演は「ラストキング・オブ・スコットランド」ではアミン大統領を演じていたフォレスト・ウィテカー。
監督は「プレシャス」のリー・ダニエルズ。
黒人が主役だからと言って「黒執事」と略すと、チケット売り場も混乱するので注意。
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