「ある精肉店のはなし」
前にも言ったかもしれないが、映画館で金を払ってドキュメンタリー映画を観るということは、テレビでは放送しないような題材にしているからで、やっぱりビッグダディ程度では金は払えないでしょ。
何かやばそうなテレビではタブーなネタが好ましい。
それが神軍平等兵だったり、イルカをフルボッコにしたり、そんな感じのネタが望ましい。
不謹慎といわれようが、劇場で金を払う=見せ物的なものがあって当然だろう。
この映画は、大阪府貝塚市で7代にわたって家族で精肉店を営む一家のドキュメンタリーだ。
家族が協力し、牛の飼育から屠殺・解体・精肉・販売までを一貫して手がけ、すべてを手作業で行う。
そして、被差別部落出身者と して長年理不尽な差別とも向き合ってきた家族の歴史も追っていく。
ここまで聞けば、牛の塗擦、差別問題というテレビが敬遠するネタであり、映画でこそである。
牛を殺してバラしていくのは人によっては抵抗があるかもしれない。
同じようなネタで「いのちの食べ方」というのがあったが、あれは機械を使って大量に処理していくので、生命という感じが見ているうちに希薄になってくる。
しかし、この映画の場合は、牛の頭にハンマーみたいなもので叩いて殺すところからスタート。
やり方を間違えれば牛に暴れられてえらいことになりそう。
しかし、だからこそ命をいただくことを実感する。
ちなみに、普通に民家のある道を牛を連れて歩く姿は滅茶苦茶シュールだ。
差別問題はやっぱり出てくるだろうなと思っていたが、押しつけがましくないのが好感が持てる。
そして、あくまでも家族の話に徹底しているのが良い。
監督は纈あや。
しかし、肉屋の家族って、高級肉を普通に家庭で食べているのがちょっとうらやましい。
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五つ星評価で【★★★★そこそこ数は観てるけど、ドキュメンタリーはどっちかっていうと苦手。でも、これは面白かった】
冒頭から町中を歩く牛。
牛と言うのは立派な生き物だな ... [続きを読む]
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