「共喰い」
どちらかといえば、小説よりも書いている本人のキャラが有名な田中慎弥。
そんな彼の第146回芥川賞に輝いた同名小説を映画化。
昭和63年の山口県下関市。
セックスの時に簿雨量を振るう性癖のある父親を持つ17歳の少年。
実の母親はそれに耐えきれず彼が生まれると家を出てしまっている。
今の彼は父親と、その愛人と一緒に暮らしている。
そんな彼にも幼なじみの恋人がいるのだが、彼女とセックスをしているうちに、自分も父親と同じ忌まわしき値が流れていることを思い知らされるのだった…。
面白い!
田舎の閉鎖的な重苦しさと、家族という切るに切れない関係。
そんなどうしようもないやるせなさが、これでもかと言うくらい全編に漂っている。
性豪といえば聞こえはいいが、要は性欲が強く、それだけならまだしも女性に対して暴力を振るわないと満足できない親父…というあまりにもどうしようもなく、一歩間違えれば笑い話みたいな話がかなり深刻であり、最後まで貫いているのは良いと思う。
まあ、こんなに性生活の充実している高校生はいてもらっても困るんだけどね。
主演は「仮面ライダーW」の菅田将暉。
当然、仮面ライダーとは全く雰囲気が違うので、子供たちが見たらビビります。
もっとも子供たちはレイティング的に観ることができないんだけどね。
監督は「EUREKA ユリイカ」の青山真治。
脚色で荒井晴彦が参加しており、だからこの映画が「映画芸術」での扱いが大きいわけやね。
この映画の特筆すべきところは、昭和天皇の崩御について触れているところで、確かに昭和63年から始まるので、その話は出てくるのだが、結構、危うい話をしているのには驚いた。
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