「パシフィック・リム」
この映画に関しては語ることはあまりない。
多くの人が語り散らかしているし、自分もそれに概ね近い感想を持っている。
大変面白い。
それ以上の言葉はあまりにも陳腐だ。
巨大怪獣と人型巨大ロボットとのバトル。
あまりにも今更だ。
しかし、ふと考えれば、そんな映画って今まであっただろうか?
日本人にとってロボットアニメは当たり前の存在であるし、怪獣も「ウルトラQ」以降、極めて身近な存在だ。
そして、ロボットと怪獣の出てくる映画は数あるはずなのに、満足できるものは今まであっただろうか?
少なくとも自分はなかった。
今までは。
しかし、「パシフィック・リム」は、長年待ち続けたものがやっと実現した感じだった。
それは、初めて「スター・ウォーズ」を観た感じにも似ている。
今までの特撮映画。
それは、広がりのない宇宙に、煙を噴いて飛ぶロケット、蛇腹の腕を持つロボット、つながった宇宙服……おそらく当時の感覚では精一杯だったかもしれない。
だけど、「スター・ウォーズ」は違った。
今までの概念を打ち砕くものだった。
「パシフィック・リム」は正にそれだ。
今まで感じていた違和感を取り除き、自分等のこうあってほしいことのさらに上を行っている。
例えば、ローランド・エメリッヒの「GODZILA」を観た時、日本人は大きい違和感を覚えたはずだ。
おそらく、アメリカ人の考える怪獣=巨大な爬虫類なのだが、日本人の考える怪獣=災厄であり、震災に近いものなのである。
そのため、「GODZILA」は巨大であるが、怖いという印象はない。
怪獣は人智を越えた恐怖の象徴であるべきなのだ。
「パシフィック・リム」に出てくる怪獣は、巨大な爬虫類ではなく、人類の想像を越えたものとして描かれている。
さらに、それにもきちんと設定がされており、よくわからないだけで終わらせているわけではない。
そして、それに対抗するために人類が開発したのが、人型巨大兵器イェーガー。
操縦は2人のパイロットによって行われる。
イェーガーの能力を引き出すためには、パイロット同士の心を高い次元でシンクロさせなくてはならない。
正に日本のロボットアニメの美味しいところを全てぶち込んだような設定。
イェーガーの操縦は、懐かしのジャンボーグAを思い出させる。
イェーガーは国ごとに特色があるのも、マニア心をくすぐる。
自分が十代だったら間違いなくフィギュアとか集めていたかもしれない。
とにかく、特撮をアニメ化したエヴァンゲリオンをさらに実写にしたような展開。
画面の構図が日本のアニメや特撮であり、おそらく日本人が観ても違和感なし。
いや、むしろ今までできそうでできなかった映画ができてしまったことがかなり衝撃的である。
冒頭で怪獣が橋を壊した時は、「スター・ウォーズ」のクロッケードランナーとインペリアルクルーザーの登場を思わせるものがあり、思わず身を乗り出してしまった。
「進撃の巨人」は言うに及ばず、「ワールド・ウォーZ」でもそうだが、この映画でもそうだが壁が重要なアイテムになっているが、これは世界的な流行なのか?
この映画を観て、今まで観てきた特撮やアニメを思い出し、色々な語りたいことは山ほどある。
その意味ではオリジナリティーはないのかもしれないが、それを省いてもそれらの要素をごった煮にして一本の作品ができてしまった時点で、オリジナルであり、今後ロボットや怪獣が出てくる映画は、この映画を基準として語られることは間違いない。
少なくとも「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は、本家としてこれを越えてもらわなくてはいけない。
出演はチャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、菊地凛子(B83-W62-H86)、ロン・パールマン。
菊池は日本語版だと林原めぐみが吹替という徹底ぶり。
さらに日本のロボットアニメの有名な声優が多数出演。
近年で稀に見るまともな吹替版と言えよう。
彼女の少女時代役は芦田愛菜だが、出ている時間は極めて少ない。
監督は「ヘルボーイ」「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ。
確かに「ヘルボーイ」は「スター・ウォーズ」を思わせるものがあるので、新シリーズは8作目でもいいので彼に監督して欲しい。
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チャーリー・ハナム、イドリス・エルバ、
菊地凛子、ロン・パールマン、芦田愛菜出演
ギレルモ・デル・トロ監督、
131分、2013年8月9日より全国公開
2012,アメリカ,ワーナー・ブラザーズ映画
(原題/原作:PACIFIC RIM)
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