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2013年6月13日 (木)

「はじまりのみち」

Hajimari 「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」の原恵一が実写の映画を監督する。
 期待半分不安半分になってしまう。
 アニメは良くても実写は全くダメな人もいるからだ。
 押井守は、時々実写を監督するが、正直やらなければ良かったのにと思う場合が多い。
 もっとも彼の場合、最近はアニメでさえも微妙な映画が多い。
 果たして原恵一はいかに?
 彼の初めての実写は「二十四の瞳」でお馴染み木下惠介監督の若き日の話だ。
 戦時中、監督作「陸軍」が女々しく戦意高揚映画でないと軍部から指摘され、次回作の製作が中止となってしまう。
 そんな状況にうんざりした彼は松竹に辞表を出し、脳溢血で倒れた母のいる浜松にいく。
 やがて、さらに戦況が悪化したため、山に疎開をするため、木下恵介は兄と便利屋と共に、体の不自由な母をリヤカーに乗せ山越えをする…。
 まあ、乱暴に言うと木下恵介が母親をリアカーに乗せて山越えをするという話なのだ。
 正直、こんな話で大丈夫かな?と思った。
 実話なのかどうかは知らないが、木下恵介が甘っちょろいことを言っているというか、単なる中二病にしか見えなかったりする。
 便利屋もお調子者すぎてちょっとどうかと思ってしまう。
 しかし、これは全て伏線であったのだ。
 ラスト15分近く続く木下映画のフラッシュバックのためだったのだ。
 これはやられた。
 それまでの何気ない言葉や動きが全てここに集約するのだ。
 まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」のキスシーンの連続を思わせるが、それを遙かに越えている。
 木下恵介のこれまでの仕事・思想が見事表現されているのだ。
 「陸軍」のラストの田中絹代の演じる母親よりも泣けた。
 「新・喜びも悲しみも幾年月」の大原麗子のセリフが戦時中から現在までの日本の歴史と想いが詰まっている。
 それは、日本で作られるいかにも説教臭い反戦映画よりも切実だ。
 アニメ映画の監督が実写映画を作るのは極めて危険だ。
 アニメと実写は手法が違う。
 しかし、だからといって相容れないものではない。
 むしろ、今回は見事融合していると言っていいかもしれない。
 そして、何よりも原恵一という映像作家がとてつもない力量の持ち主であることを思い知らされた。
 出演は加瀬亮、ユースケ・サンタマリア、濱田岳、田中裕子。
濱田のカレーとビールの落語のような芝居絶品で、うっかり帰りにカレーを食べるところだった(笑)
 ところが、これが意外に後の伏線なわけで、それ以外にも「二十四の瞳」の有名シーンを思わせるところはちょっと胸に来るものがあった。
 
 残念ながら公開初日から恐ろしい程客入りは悪い。
 将来確実に名を残すであろう映像作家の初の実写映画を、リアルタイムで劇場で観たという<時代の証言者>になってみないか?……と言いたい。
 いや、本当はそんな理由なんかどうでもよくて多くの人に観てもらいたいだけなんだけどね。
 
 

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コメント

最近やっと木下恵介が再評価されてきたような気がする。個人的には終戦直後に作られたおしゃれなラブコメ「お嬢さん乾杯!」が一番好きです。
「はじまりのみち」は涙涙でした。我慢してたが、木下が母親の顔を拭くシーンと、カレーのシーンで涙腺崩壊。加瀬亮は「アウトレイジ」シリーズより、やはりこのような役が良い。濱田岳はなんか助演男優賞獲らせてやりたい、当たり役。
映画を観た後は、当然カレーを食べました。

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