「俺はまだ本気出してないだけ」
40を過ぎて突然会社を辞め、いきなり漫画家を目指し始めたバツイチ子持ち中年男のあしたはどっちだ?
人間はどんな状況においても、自分よりダメな奴がいてほしい。
もちろん、努力して成功する人の話もいいだろう。
だけど。子供じゃあるまいし、努力しても無駄なことも重々承知している。
そうなると、今の自分よりダメな奴を探した方が、手っ取り早く自分はまだまだ大丈夫だと思えて安心だ。
例えば、ビッグダディを見て、あれがえらいなとかかっこいいなと、多くの人は絶対に思っていない。
絶対に生暖かい目で見ていると思う。
仕事もままならぬのに多くの子供を作っている。
ビッグダディに感じるのは生活に根ざしたスリルと、「こいつに比べればまだましかな」という慰めかもしれない。
もちろん、純粋にビッグダディがかっこいいと思っている人がいるかもしれないが、それはそれで否定はしない。
この映画もビッグダディを見ているのに近いものがある。
この映画を観て笑えるのは、おそらく若い人か、社会的に成功した人だと思う。
リアルに主人公に近い人、もしくはそうなりそうな人は絶対に笑えない。
妙なところでリアルだからだ。
そして、社会的通念から考えると、主人公の生き方は正にスリル満点の命懸けだ。
実際、普段の生活でテロリストが来たり、宇宙人が来て生命の危機にさらされることはほとんどない。
しかし、潰しのきかない年齢で無職になったりすることはあるはずだ。
それがリストラなら仕方ないのだが、、自主的に退職してしまうのは別だ。
漫画家になりたいとか、中学生ではなく40過ぎのおっさんが言い出したら、さすがにやばい。
さらに根拠のない自信満々だ。
滑稽である。
しかし、心底怖い。
この映画はその微妙なラインを真面目に映像化している。
そして演じているのが堤真一なのがギャップがあって良い。
原作とまるで違うので反対意見もあるだろうけど、自分は彼だからこその面白さはあると思う。
彼の娘役に橋本愛(B80-W58-H82)……ってバツイチでこんなかわいい娘がいたら負け組じゃないな。
そして山田孝之は、やさぐれた役が似合う。
監督は福田雄一。
この人の映画で「コドモ警察」だけがつまらなかったな。
何か中途半端なところで終わってる感じがしないでもないのだが、まあ人生は必ずしも起承転結はないっつうことで。
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