「藁の楯 わらのたて」
孫娘を殺された富豪によってその首に10億円の懸賞金がかけられた凶悪犯。
身の危険を感じて自主してきた彼を護送するSP。
果たして全国民を敵に回して、凶悪犯を守りきることができるのか?
守る価値があるのか?
大変面白い!
原作は木内一裕の小説らしいが自分は未読。
というか、彼の作品は「ビー・バップ・ハイスクール」しか読んでいない。
とにかく作品の構造がうまくできていて、10億円は誰にでもチャンスがあり、普通の人の生涯賃金を軽く越える金額なのである。
さらに未遂でも1億円とかもらえてしまう。
そうなると、警察官でも退職してでも彼を殺そうかなと思ってしまう。
つまり国民だけでなく、彼らからを食い止めるはずの警官でさえも、武器を持った殺し屋になる可能性が極めて高いのだ。
それでも犯人護送という任務を忠実に遂行するSPなのだが、命をかけて守る相手が、8年前に少女を殺害し服役して出所してまたもや少女を殺害する徹底したクズ野郎という虚しさ。
全てにおいて相反する状況が緊張感と緊迫感を生んでいる。
上映時間は比較的長い方なのに、全くそれを感じさせない。
出演はSP役に大沢たかお、松嶋菜々子(B84-w59-H88)。
松嶋はこれでもかというくらい見事に劣化したおばさんになっていたが、これは役作りだと信じたい。
しかし、何よりもキャラが立ちまくりだったのが犯人役の藤原竜也で、徹底したクズっぷりの犯人を演じきっている。
とにかく悪いことをしている自覚が全くなく、10億円もらわなくても殺したいと思わせるところが凄く、自分がSPだったらこんな奴を命を懸けたくないと思ってしまう。
「十三人の刺客」でもそうだが、悪役が徹底して悪いと、話は面白い。
監督はその「十三人の刺客」の三池崇史。
多少のツッコミ所はあるのだが、勢いがあるので観ている最中は全く気にならない。
日本映画では珍しく徹底した娯楽作品なので必見!
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» 『藁の楯 わらのたて』 この挑戦を受けて立て! [映画のブログ]
シンプルなのに捻りがある。
作り手はこの設定にした段階で、『藁の楯 わらのたて』は面白いと確信したことだろう。
もちろん、その第一の功績は原作小説にあるのだろうが、主演の大沢たかおさんが数...... [続きを読む]
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