「中学生円山」
宮藤官九郎が脚本のドラマはまずハズレなしだ。
あの朝の連ドラ史上最低と言われた「純と愛」の後番組ということを差し引いても「あまちゃん」は面白い。
そして脚本の映画も悪くない。
しかし、残念なことに自ら監督した映画は逆に当たりなしだ。
おそらく、脚本は良いけど監督には向いてない人かもしれない。
この映画の話を聞いた時は期待半分不安半分だった。
何故ならクドカンが脚本と監督だから。
「少年メリケンサック」なんか、予告篇を見た時は滅茶苦茶期待したのに、いざ本編があんなだったとは…。
だからとてつもなくハードルを低くして観にいったのだが、これが意外に面白い!
おそらくクドカンの監督した映画の中では一番面白い。
平凡な両親と妹と団地に暮らす中学2年生の円山克也は妄想壁があり、自分の舌で自分のチンポをなめるため日々努力をしていた。
そんなある日、同じ団地に引っ越してきたシングルファーザーが、越してきた頃から近所で殺人事件が発生!
円山少年は彼を犯人ではないかと疑い始める……。
いわゆる昨今流行の中二病ものである。
確かに中学時代は根拠のない自信と妄想で頭が一杯。
行動範囲は学校と自宅周辺程度。
自分で自分のチンポをなめようとする行為は誰しもやった、もしくはやろうとしている行為で、まさに中学生男子の夢であり願望でもある。
しかし、その願望はほぼ無理だし、それどころか、将来、恋人や嫁さんでさえも頼んでもやってもらえないことを知るに違いない。
もうこんなネタをつかみにすることにより、この映画はクドカンの毎度お馴染み小ネタを散りばめ、現実とも妄想とも判別のつかない世界が展開する。
だけど、仕方ない。
何故なら、中学生の妄想を映像化したものだから。
そう考えると少々変であろうが気にならない。
所詮、中学生の考えることですから~。
出演は平岡拓真と草なぎ剛。
平岡君もこんな役をよく引き受けたなあと思うが、彼の存在なくしてこの映画は成立しない。
しかし、この映画の主演は草なぎ剛なんだよね。
はっきりいってデート向きではないと思うし、あまりにも笑いのネタが男子目線。
だけど、同じ団地映画でも同じ日に封切った「クロユリ団地」より遥かに面白いことだけ断言しておく。
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