「アイアンマン3」
これはつまらない。
それは何故か?
アイアンマンがあまり活躍しないから。
どちらかというとアイアンマンの中に入っているトニー・スタークが生身で活躍する話なのである。
しかし、ほとんどの人はそんなものを望んではいない。
多くの人は、最強兵器アイアンマンの活躍が見たいのだ。
生身の人間のアクションなんて、腐るほど存在する。
アイアンマンという道具を使ってこそなのだ。
前から言っているが、アメコミのヒーロー物の映画化はあの派手なコスチュームの着用の理由付けが重要であり、本来なら真っ先に職務質問されても不思議ではない奴が、自分が悪と判断して暴力を振るっているのだ。
結局、ほとんどのアメコミのヒーローは、正義の象徴で悪から見たら恐怖の象徴という意味である記号的な意味でのコスチュームなのである。
しかし、アイアンマンの場合、コスチュームではなく着用する〈兵器〉なのである。
つまり、コスチュームではないので理由付けを説明する必要性はなく、圧倒的な兵器=道具であり、使用は個人の判断なのである。
そしてスーツを使うトニー・スタークは、元軍事産業の社長で、性格はある意味軽く迷いがない。
そして何より他のヒーローと違うところは、正体を全く隠していない。
アイアンマンは他のヒーローとはかなり異質なのである。
そのため、他のヒーローと違い、自分の存在理由について全く悩む必要がない。
これだけお膳立てしてあれば、あとはひたすら暴れて悪を倒せばいいだけなのである。
しかし、残念なことにシリーズ3作目において、他のヒーロー同様悩み始めている。
そして、うまくやれば物語を大きく膨らませる要素が裏目に出てしまった。
アイアンマンは壊れて使わない場合が多いため、多くの人が期待しているようなバトルは少なく、大変テンポの悪く歯切れの悪い展開になっている。
さらに今回は装着方法が遠隔操作でできるようになり、どこにいても指示さえすれば鋼鉄ジークのようにパーツが飛んでくる。
さらに本人が装着しなくても、動かすことができるのだ。
しかし、それはトニー・スタークがいなくても問題ないことを意味するため、アイアンマンがヒーロー物から外れることを意味する。
パーツが遠隔操作で飛んでくることによる装着も、ケレン味が全くない。
そもそも秘密アイテムは常に持ち歩いてこそ価値があり、仮面ライダーの変身ベルトと同じようなものだと考えればその重要性と、装着した時に無敵っぷりが強調される。
残念なことに今回はアイテムとしての価値がかなり低くなっている。
見せ場であるアイアンマン大集合も、今回初めて出てきたようなものには全く思い入れがないために、歴代仮面ライダーやスーパー戦隊大集合のようなワクワク感が全くない。
さらにそれらを何のためらいもなく壊している。
確かに〈道具〉ではあるが、アイテムという重要性はまるでなく、むしろ否定していることになる。
例えばアメリカ政府の開発したアイアン・パトリオットもほとんど出オチ状態である。
結局、「アベンジャーズ」でやりつくした後では、何をやっても地味に思えるし、だったら逆にトニー・スタークの自分探し的な話にするのも番外編的にはありかもしれないが、それにしてもやり方があるはずで、今回は脚本と演出があまり上手とは言えない。
監督は前作までの監督ジョン・ファヴローは製作総指揮に回り、シェーン・ブラックになったのも残念な要因か?
3Dが公開されているが、暗いシーンが多く、細かいカット割りで3Dの立体感を感じることができない。
やっぱり3Dなら3Dの撮り方と演出で制作してほしい。
最後はマーヴェルの次回作の予告編があるのだが、もうさすがに飽きてきた。
こういうのってタイミングが大事で、連発するものではないんじゃないかな。
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» 『アイアンマン3』(2013) [【徒然なるままに・・・】]
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