「HK/変態仮面」
ティム・バートンの「バットマン」以降、アメコミのヒーローの実写映画化の流れの一つとして、リアル指向になってきた。
そして、リアル指向の一番重要となるものは、コスチュームの存在理由である。
何故、あんな格好をしなくてはならないのか?
確かに冷静に考えなくても、原色の派手派なコスチュームで身元不明で、正義という名目で自分の主観的判断のみで人に暴行をするのは、誰よりも危険な存在かもしれない。
そもそも、あんな格好である必要は全くないわけで、どう考えても変態である。
その意味では変態仮面は、コスチュームヒーローが他人にどう思われているかをつきつめた究極の姿かもしれない。
あんど慶周の漫画「究極!!変態仮面」は、女性用のパンティを被る事で変態パワー を発揮し、悪者を退治する変態仮面の活躍を描いている。
女性の下着を被っている時点で、否定しようがないくらい変態扱いされるのは仕方ない。
だからといって、コウモリや蜘蛛の格好で街をほっつき歩いている人が、変態ではないと言い切れるわけでもないのだ。
コミックスを持っているだけでも人格を疑われそうな「究極!!変態仮面」を映画化。
チケット売場で「変態、1枚」と言わなくてはいけないのは、まるで屈辱プレイだ。
ところが、何故か劇場は満席近い状態。
そして、映画は大変面白い!
前から日本でもバットマンやスパイダーマンみたいな映画ができないものか?と思いきや、まさか「変態仮面」で叶うとは夢にも思わなかった。
そりゃあ、女の下着を被っているだけで笑いは取れる。
そんな小学性的発想なのに、実は極めて真っ当なヒーロー物であり、本質はバットマンやスパイダーマンに近い。
何故、女性の下着を被って戦うのか?という命題が、アメコミのヒーローのコスチュームで戦う理由付けと同じ次元で語られている。
それでいて、娯楽映画に徹しているのは見事!
地上波ではまず放送は不可能だが、だからこそ劇場に行くという映画の本質にも言及している。
満員に近い客席だと笑いが絶えることはない。
ある意味、観客の一体感を感じることができる貴重な映画なのだ。
出演は鈴木亮平。
監督は福田雄一。
「コドモ警察」が映画の次元まで達していなかったので、心配していたのだが、この映画は問題なし。
原作の大ファンだという小栗旬が脚本協力しているらしいが、やっぱ主役を演じないと、大ファンとは言えないでしょ。
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週刊少年ジャンプに連載されていた、あんど慶周 原作コミックの実写映画化。「HK 変態仮面」(ティ・ジョイ)。う~ん、吾輩原作は知らんですわ(^^;。さすがにもおその頃(連載されてたのは1992年~93年)は、ジャンプ読んでませんでしたから。でもあの小栗旬クンが、原作の大ファンで映画化を熱望して実現したらしいんですよね。まあ、面白そうだわ。
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