「ダイ・ハード/ラスト・デイ」
息子のトラブルの尻ぬぐいのため、モスクワにいったジョン・マクレーンが、ロシア政財界の大物や軍隊が絡む巨大な陰謀に巻き込まれて迷惑かけまくり!!
ジョン・マクレーンは世界一運の悪い男と言われているが、本当に運の悪いのは、この映画を見せられた観客である。
シリーズの中で一番つまらない。
何がダメかというと脚本である。
人の迷惑顧みずモスクワで車を大量破壊。
今までも色々な物を破壊し、迷惑をかけまくっていたが、それには必然性があった。
誰かを救うとか、自分が助かるためとか理由は色々だ。
そして何が何でもという理由の元、不可抗力ながら人が死んだり、大量破壊に至ってしまう。
ジョン・マクレーンは結果的にはスーパーマン的な活躍をするが実際は極めて普通の警官であり、運は悪いがその分の生存能力が高い男であったはずなのだ。
あまり評価の高くない「ダイ・ハード4.0」でさえも、その設定は何とか生きていた。
しかし、今回はモスクワでのカーアクションは規模こそ大きく見応えはあるものの、そこに至る必然性が全くない。
いや、百歩譲ったとして息子の危機を救うためという大義名分があるとしても、そこに至る説破詰まった状況が全くないのだ。
これではただの自分勝手の困った奴でしかない。
これは演出も悪い。
緊張感や緊迫感が全くないのだ。
007でもインディ・ジョーンズでもそうだが、観客は主人公が絶対に助かることはわかっている。
それでもハラハラドキドキさせることが重要なのである。
ところが、この映画の場合、マクレーンは絶対に生き残るというお約束を何をしてもいいという状況に置き換えてしまっているのだ。
じゃあアクションだけ楽しめればいいかと思うのだが、手持ちカメラのふらふらした映像と必要以上にクソ細かい編集で、何が何だかわからず見ていて酔ってしまいそうな気持ち悪さがあるのだ。
ジェイソン・ボーン・シリーズの悪影響はこんなところに出てしまっている。
これをIMAXで見たら、気分が悪くなってしまうのは間違いなしだ。
息子の正体もとってつけたような感じというか、この設定ではさらに緊迫感や切羽詰まった感じはしない。
そして今回の悪役が小物で目的もせこい。
主演のブルース・ウィリスはリアルタイムで年取っているのだから、その設定をもっとうまく生かすべきではないのか?
運の悪い男がさらに年取ったということを考慮した話にするべきなのだ。
監督は「エネミー・ライン」や「マックス・ペイン」のジョン・ムーア。
自分の中ではこの監督は信用できない監督に当確。
しかし、アメリカ人の核に対してのユルさがハンパないことを改めて認識。
放射能を中和するガスというのがコスモクリーナー以下の発想。
そんなものがあるんだったら、それを売った方が遙かに儲かるぞ。
というか、これって時期によっては日本では公開延期間違いなしだろうな。
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