「きいろいゾウ」
公開2日目に劇場に観に行ったのだけど、寝ている人や途中退場する人が多かった。
つまらない…というよりも辛い映画だからだと思う。
出会って すぐに結婚し、互いに秘密を抱えたまま田舎で新婚生活を始めた若い夫婦の話。
こう聞くと、毎度お馴染み田舎のスローライフの癒し系と思ってしまう。
ところが、この映画の場合、全く癒されないし、田舎に住んでいるからこそ危うさを感じてしまう。
子供の頃に長期入院し周囲の生き物たちの声が聞こえる妻の“ツマ”。
ヤクザでもないのに背中に入れ墨のある売れない小説家である夫の“ムコ”
二人は三重県のど田舎に暮らしている。
出会ってからすぐに結婚した二人には、それぞれ言えない秘密を抱えている。
ある日、ムコに差出人不明の手紙が届いたことから、二 人の関係がおかしくなっていく……。
つまらないより辛いというのはツマがメンヘラ系であり、見ていて気分がブルーになってしまうからだ。
いやもっと言えば、この映画に出てくる女性は全員メンヘラ系だ。
ちなみに、ムコもちょっと普通でないところもある。
ツマの情緒不安定は見ていて怖いものがある。
それを一番表しているのは、海へ向かう車の中のツマとムコで、ず~っと長回しで撮っているのだが、いつツマが情緒不安定で暴れてしまうかわからない妙な怖さがある。
それと、水道での連打もそうだ。
これらは演出的には大成功なのだが、見ていて辛いはダレるは…といった感じだ。
上映時間も長いので気持ちの配分を間違えると最悪。
もちろん、このブルーな気分にさせるのが、登場人物の心理を追体験させる意味では重要なのかもしれない。
だけど、金払って気分が滅入るって、どんな罰ゲームだよ。
唯一、夫婦の近所に住んでいる男子小学生に憧れる女子がいるのだが、色々アプローチしているのに、最後の最後まで完全に無視されているところだけが泣けた。
出演は宮崎あおい(B72-W57-H84)と向井理。
監督は「ヴァイブレータ」や「余命1ヶ月の花 嫁」の廣木隆一。
そういえば、この監督の演出って、こんな感じでキレが悪いことを思い出す。
とにかく、ほのぼの夫婦映画と思って観ると、全く違うので注意!
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コメント
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この記事を書いてくださってありがとうございます!水道での連打の場面はいつ終わるかわからず怖くて、耳をふさいで耐えていましたがついに外に飛び出してしまいました。
包丁でも出てきて、殺人事件になるかと思いました。
扉の外で『きいろいゾウ』のレビューを検索し、どういうラストになるかと見てみた際に、こちらのページを拝見し、怖くなったのは私だけでないと安心しました。
そして怖い場面は後はあまりないと知り、また中に入り通路の入り口で立って見ることができました。
ない時間を切り裂いていったのに、ほんとうに罰ゲーム的な思いでした。
同じ想いを共有できて嬉しかったです。
ありがとうございました!
投稿: 天野 | 2013年2月 6日 (水) 08時36分