「東京家族」
基本的にリメイクというのは、オリジナルがすばらしいから作られるのであって、オリジナルが駄作だったら作られない。
もっといえば、駄作をうまく作った時点でそれがオリジナルになってしまう。
当然、オリジナルは唯一絶対であり、リメイクでそれを越えることはない。
それでもリメイクができるのは、オリジナルの持つ不変なものをいかにアレンジするかにかかっている。
「東京家族」は、山田洋次監督が小津安二郎監督の「東京物語」をモチーフにしている。
もうこの時点で無謀だ。
映画ファンの中には小津信者は多い。
当然彼らにとってオリジナルは絶対であり、それ以外のものは認めない。
そこらへんは山田監督も重々承知している。
彼が表現しようとしたのは「東京物語」の〈精神〉である。
2002年にリメイクドラマがあった。
「東京物語」の設定を現在に変えたものだ。
今の日本で戦争未亡人の設定をどうするのか?と思ったら海外の戦争に巻き込まれて死亡という無理無理な展開。
当然、ファンは怒りを通り越して失笑してしまった。
リメイクはオリジナルの〈精神〉の再構築であり、設定をそのまんま変えただけでは劣化コピーでしかない。
例えば「宇宙戦艦ヤマト2199」はその成功例である。
逆に大失敗は「死刑台のエレベーター」(2010)だ。
前者はオリジナルの〈精神〉を大事にし敬意を払い、現在の目線で再構築されている。
しかし、後者は1950年の設定をそのまま現在に持ってきているため、不自然極まりないものになっている。
「東京家族」は「東京物語」をモチーフにしているが、リメイクとは言っていない。
確かに似て非なるものである。
しかし、「東京物語」の〈精神〉と要素を再構築しているのは疑いようがない。
賛否が分かれる映画ではあるが、自分は悪くないと思っている。
どうしても納得できない人は、映画に散らばる小津映画の要素を探して楽しむの良いかも。
出演は橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣(B85-W58-H83)、中嶋朋子(B78-W58-H83)、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優(B80-W60-H88)。
橋爪は笠智衆を意識したような感じだった。
しかし、一番驚いたのは中嶋朋子で、最初、メガネかけてるおばさんは誰?と思っていたが、まさか彼女だとは…。
もう蛍ちゃんは遙か昔のことなんだな。
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コメント
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こんにちは。
テレビドラマ化されたのは知っていましたが、海外の戦争に巻き込まれて死亡とは……。
逆に見てみたくなりました
投稿: ナドレック | 2013年1月30日 (水) 00時06分