「ふがいない僕は空を見た」
高校生の卓巳は友人に誘われて行ったアニメの同人誌販売会で、あんずと名乗るアニメ好きの主婦・里美と知り合い、その後、 彼女に請われるままにアニメのコスプレでセックス三昧。
そんな里美だが、実は子供ができず、姑から責められていた。
やがて、同級生の女の子に告白された卓巳は、里美との関係を終わらせようとするが、その矢先、彼と里美の動画がネットにバラまかれてしまう。
さらに同時進行で、卓巳の友人でコンビニのバイトで認知症の祖母との極貧生活をしている福田、助産師として働く卓巳の母の話も展開していく。
実はある意味群衆劇っぽいのだが、後で調べたら原作は窪美澄の同名連作短編集らしい。
自分は未読だが、ちょっと興味が出てきたので、時間があったら読んでみたい。
上映時間が長いし、監督のタナダユキの「百万円と苦虫女」はあまり好きじゃないので、観るのをやめようかなと思っていたのだが、観て良かった。
大変面白い!!
登場人物はどれも痛々しい。
そして生々しい。
人間の隠しておきたいところが、これでもかと出てくる。
特にアニメ大好き高校生とコスプレセックスの里美は、それだけでも痛いのに、子供が産めないという理由で、姑に責められまくり。
子供が産めないのは必ずしも女に責任があるわけでもないのだが、世の中では女子が悪いことになっている。
実はこれって現実によくあることで、自分の知り合いで、おそらくそれが原因で離婚させられた可能性が大きい女性もいる。
そう考えるとできちゃった婚の方が実は最終的に結果オーライで良かったのかと思ってしまう。
情事の様子がネットにバラまかれて学校に行けなくなる卓巳もリアルで、ありゃあ高校生だとまだまだ笑い飛ばせる状況じゃないし、それに悪意が入ってきたらやっぱり収拾つかないだろう。
卓巳の友人の福田もボケた祖母さんを抱え、母親は基本家にいなさそう。
食べることもままならない。
まさかの21世紀になってラブユー貧乏を思い出させるくらいの貧困ぶり。
卓巳の母親は自然分娩の助産婦をしているが、一見聞こえはいい自然分娩も実はそう簡単なことでもなく、場合によっては病院の方が良かったりする。
チラシにあるように、正に「生」と「性」の話だ。
当然、ここで色々な問題が発生していく。
完璧な人間は脇役も含めて誰も出てこない。
全員何かの問題を抱えている。
それはあまりにも生々しくリアルなので、全編通してホラーやアクション映画とは違う緊迫感と緊張感が漂っている。
出演は主演は永山絢斗、田畑智子(B75-W58-H77)。
何をいっても田畑が最高!
コスプレはかわいいし、裸になって濡れ場も演じて、色々な意味で体当たり演技だ。
実はこの映画の半分以上は彼女が持って行っている。
とりあえず、この映画にぴったりな言葉は、
どっこい生きている、
もしくは、
それでも生きている……かな。
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