「悪の教典」
日本映画の残念なところは徹底さが足りないところだろう。
何をするにしても、よくやって腹八分程度が多い。
だけど、面白い映画は徹底してやりすぎる位やっている。
普通、ここまでやらんよなあというところまでやる位が丁度良い。
だから悪い奴は徹底して悪い方が良い。
良心の呵責を感じている奴はまだまだ小物だ。
その証拠にハンニバル・レクター博士は自分が悪いことをしている自覚が全くない。
人さえ食べなければ良い人なのだ。
そんなわけで、「悪の教典」に出てくる先生は、レクター博士と同じカテゴリーに入るのかもしれない。
人さえ殺さなければ良い先生だからだ。
頭脳明晰でイケメン、生徒だけでなく、同僚やPTAからも信頼の厚い高校教師、蓮実聖司。
生徒からハスミンの愛称で呼ばれる彼だが、実は反社会性人格障害で、迷いもなく殺人をやらかす男だった。
そんな彼だったが、正体がばれそうになったので証拠隠滅のため、文化祭 の準備で学校に居残る生徒全員の殺害を実行しようとする。
面白い!!
前半の良い先生なのに、実は悪の片鱗が見え隠れしているのが、じわじわと怖いものを感じさせる。
そして後半の一気に迷いもない殺戮には、あまりにも潔いために痛快さを覚える程だ。
日本映画でここまで徹底しているのは珍しい。
監督が三池三池崇史なので、当然かもしれない。
しかし、何よりも主演の伊藤英明がハマリ役。
表と裏のある教師をきっちり演じている。
「海猿」で多くの人を救出しているのに、この映画では多くの人を殺しているというギャップも良い。
共演に山田孝之がいるのだけど、今なら普通に考えたら彼が主演でもいいのだが、残念なことに今の山田君はさわやかというより、胡散臭いのが目立つのでダメかもしれない。
とはいいながらも、爽やかな山田君よりダーティな感じの山田君の方が自分は好きだ。
続編があるっぽい終わり方もシャレが利いている。
正にエクセレントだね!!
« 「北のカナリアたち」 | トップページ | 「ゲットバック」 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 「A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)」(2016.01.06)
- 2015年映画雑感(2016.01.05)
- 2015のダメ映画②(2016.01.04)
- 2015のダメ映画①(2016.01.03)
- 2015年日本映画ベストテン(2016.01.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント