「のぼうの城」
2万の豊臣軍に対し僅か500の兵で抵抗した実在の武将・“のぼう様”こと成田長親を描いた時代劇。
脚本は、第29回城戸賞を受賞した和田竜のオリジナルらしいのだが、自ら書き下ろした小説は直木賞候補となったらしい。
世の中には才能ある人にはとことん才能があるの典型的な例。
映画そのものは随分前に完成していて公開もするはずだったが、震災の影響で公開延期となってしまった。
確かに水攻めは津波を思わせるものがあるので、その配慮は当時としては正解かもしれない。
劇場によってはその旨の注意書きがあるらしい。
予告編がイマイチだったのであまり期待していなかったのだが、予想に反して無茶苦茶面白かった。
その一番の要因は登場人物のキャラが全員立っているからで、特に成田長親を演じた野村萬斎に因るところが大きい。
そういえば「陰陽師」の時も野村萬斎に持っていかれたところが大きい。
とりたてて才能も勇気もなさそうなのに、領民の人気者で、場合によっては敵の心もがっちり掴んでしまう。
そんな嘘臭い、いや現実味のなさそうなキャラなのに、彼が演じていると不思議と説得力があるのだ。
さらに脇を固める佐藤浩市、成宮寛貴、山田孝之が見事にバランスを取っている。
話も豊臣の2万の軍勢を倒すわけでもなく、有利な交渉に持ち込むというのが、当たり前とはいえ面白い。
いつの時代もどんな場合でも落としどころを、うまく探るのは大切だ。
監督は犬童一心と樋口真嗣。
単純に考えてドラマパートと特撮パートで分けて監督したのかもしれないが、これはある意味うまくいった例かもしれない。
ただこの二人の出てくる劇場でのポップコーンのCMはちょっとどん引きだけどね(苦笑)
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