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2012年10月10日 (水)

「神秘の法」

Shinpi テレビが出てくる前、映画館は広告媒体としては最強だった。
 何しろ多くの人が1回で同じ物を観るのだ。
 それも暗闇でスクリーンしか観るものはない。
 宣伝をするための媒体としては正に最強だった。
 その後、テレビが出てきて、映画産業は斜陽になっていき、当然、広告媒体としての価値も減っていく。
 さらにはテレビさえもネットの登場で1番ではなくなっている。
 しかし、だからといって映画の媒体価値はなくなったかといえば、そうでもなく、むしろ劇場で観るという高級感と、一つの場所に多くの人が集まるという付加価値は揺るぎないものとなり、「権威」として存在している。
 特に全国公開の映画はそれだけでも影響力が強いのだ。
 しかし、わかっていても使い切れない。
 せいぜい上映前のCM枠を買えるかどうかである。
 本当はテレビよりも制限がないので、自由に使えるはずなのに。
 実は思った以上に費用がかかる。
 ところが、それを理解してうまく活用しているのが幸福の科学だ。
 時々、アニメ映画を制作しては大規模公開をしている。
 今までは東映で公開していたが、前回の映画から日活が配給となっている。
 前回は実写映画だったが大変残念な作品で、やっぱり、この団体はアニメ映画が一番手堅いと思う。

 202X年、東アジア共和国で軍事クーデターで発生した帝国ゴドムは、強力な軍事力を背景に近隣諸国を侵略!
 弱体化したアメリカや国連も打つ手はなかった。
 しかし、国際的秘密結社ヘルメス・ウィングスだけが抵抗運動を続けていた。
 そのメンバーで予知能力を持つ日本人青年、獅子丸翔は、謎のインド人仏教僧から救世主再臨の予言を告げられる…って前回に引き続き近未来予言シリーズ(?)なわけやね。

 最初の方はそれなりに面白そうで、「これはいけちゃうかな」と期待していたのだが、途中から失速してしまう。
 結果から言うと面白くない。
 予言やら宇宙人やら、救世主やら盛り沢山で、今の国際状況における日本の立場もうまく説明しているのだが、盛りすぎてしまい、山場の連続も続けば平らになってしまうの典型的な例。
 いわゆる詰め込みすぎってやつやね。
 もう少し絞り込んでも良かったかも。
 ただアニメ技術は頑張っているので、このまま作りつづければ、いつかは物凄い傑作が出てきそう。
 声の出演は意外に豪華だけど、やっぱり子安武人は外せない。
 よく信者が劇場で勧誘するという噂があるが、正に都市伝説。
 今回も信者っぽい人もいたが、きちんと静かに映画を観ていて、むしろ頭の悪そうなカップルや、おばさん、女子団体の上映中の携帯やお喋りがするよりも、礼儀正しかった。
 これだけの費用をかけて映画を使うのに、作品がパターン化しつつあるのが残念。
 次回作は違うアプローチで作品を作るのもありだと思う。
 
 

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