「アイアン・スカイ」
映画に出てくる仮想敵というのは時代によって変化する。
第二次世界大戦中は当然、敵国で、アメリカにとってはドイツだし、冷戦時代はソ連だ。
しかし、それらは時代によって変化していく。
今の複雑な国際状況を考えると仮想敵国を作るのは難しい。
だからこそ、宇宙人という存在があるわけだ。
しかし、中には50年以上前から人類の絶対的な敵が存在する。
それがナチスだ。
ロシア人やアラブ人を悪にしてしまうのは色々な配慮がいるが、ナチは地球規模の絶対的な悪なのでOK。
しかし、今時ナチスってネタになるのか?と思いきや、思いっきりなっちゃってるよ。
それも、ナチスの残党が月の裏側で地球侵略の準備を進めていた……って、絶対的な悪であるナチスが、もう一つの絶対的悪の宇宙人の要素も取り込んで、宇宙から攻めてくるって発想は、今時中学生でも思いつかない。
だからこそ、斬新なものがある。
正に逆転の発想ってやつか?
それだけでもツカミはOKなのに、時代は2018年でアメリカに女性大統領が就任し、月に黒人モデルを送り込んでいるという設定。
何故、黒人?という疑問はともかく、その黒人が白人になってしまったり、スマホが最強の兵器だったり、さらには北朝鮮をネタにしたり、意外に小ネタも盛り込みつつ、よくありがちな出オチになっていない展開なのも良い。
一番笑えたのが「ヒトラー~最後の12日間~」ネタだな。
月面のナチスが「チャップリンの独裁者」が編集で、ヒトラー賞賛の映画だと思い込んでいたというエピソードは、ある意味怖いものがあった。
これに近いことがテレビで行われている可能性はないわけじゃない。
実はコメディとしても普通によくできているのだ。
監督はティモ・ヴオレンソラ。
普通に笑って観てたけど、日本帝国海軍が月の裏にいるとかのネタの映画が出てきたら、ちょっと気分はブルーかな。
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