「希望の国」
昨今、テレビ番組の映画化が多いし、それを完全否定するつもりは全くない。
時代的にそういう流れだし、テレビ番組の映画化の中にも面白いものはある。
しかし、一方ではあえて金を払って劇場まで行くのだから、テレビで見ることができないような作品もあっていいと思う。
もちろん、それはテレビでは難しい3Dであったり、血がドバドバ出るようなホラー、または最近全く見なくなった女の裸でもいい。
テレビでは絶対にやらないような内容であってこそ、劇場に行く価値があると思う。
そしてテレビあえてボカしているのが原発問題だ。
この映画は原発事故が発生した架空の県を舞台に、いきなり発生した原発事故に巻き込まれ、翻弄される家族の物語だ。
監督の園子温は前作の「ヒミズ」で舞台を震災後にしたりしていたが、今度はダイレクトに原発問題について言及している。
確かにダイレクトすぎてテレビで取り扱うのは絶対に不可能。
しかし、映画だからこそできたのかもしれない。
前フリなしでいきなり発生した原発事故。
それは色々なところに弊害をもたらしている。
正直、現実世界がまだ現在進行中の話なので、観ていて痛々しく、現実味がありすぎて気分がブルーになってしまう。
ところが、テレビだと既に終わってしまったような感じである。
だからこそ、映画では追求するべきなのかもしれない。
正直、普通のホラー映画より遙かに怖い。
放射能という見えない恐怖もそうだが、政府の対応や報道のあり方など。
過去の話ではなく現在進行中の現実の話で、遠い外国の話ではない。
そして、これがドキュメンタリーではなく、劇映画で、きちんと物語として成り立っているし、面白い。
賛否は分かれるだろうが、伝わるものはあるし、おそらく地上波では放送はしないと思う。
出演は夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵(B92-W58-H87)、清水優、梶原ひかり(B85-W58-H87)、他にも園子温の映画ではお馴染みの役者が多数。
正直、何をもって希望の国かわからないが、せめて将来が希望の国になってほしいと切に願う。
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