「プンサンケ」
韓国と北朝鮮を分断する危険な軍事境界線である38度線を行き来し、3時間以内に何でも調達する男。
正体不明、北朝鮮の煙草・豊山犬を吸っているためプンサンケと呼ばれていた。
ある時、プンサンケは韓国に亡命した北朝鮮高官の若い愛人イノクを運ぶ依頼を受ける。
危険な目に遭いながら行動を共にしていくうちにプンサンケとイノクの間に不思議な感情が芽生えてくる。
無事イノクを引き渡したプンサンケだったが、罠にはめられ韓国情報部に拘束されてしまう…。
男のおしゃべりはかっこよくないと言われ、寡黙なくらいが丁度良いと言われる。
しかし、この映画の主人公は全く言葉を発しない。
せいぜいうめき声くらいだ。
彼が韓国の情報部に拘束されて尋問される時に、真っ先に聞かれるのは、彼が韓国側なのか北朝鮮側の人間なのかということだ。
おそらく、韓国だろうが北朝鮮だろうが、全てはそこから始まるのだろう。
ここらへんは、今でも休戦状態で、有事の際に備えている国ならではで、日本人にはわからない感覚なんだろうなあ。
主人公の男はどちらに属しているともいえず、どちらかといえば狂言回し的な存在。
北やら南やら言っていて、各個人はどう考えているのか?
国の看板を背負っているといえば聞こえはいいが、実は国に踊らされているのかもしれない。
だからこそ、最後の北と南の人間が閉ざされた空間に入れられた時に生じる戦いは、果たして国によるものなのか、個人的な諍いなのかよくわからない。
本質的なものというのは、誰もわからないのかもしれないのだ。
その意味では、この映画は奥が深い。
だけど、それを前面に出しているわけではなく、表面上は娯楽映画に徹底しているのが良い。
出演は、ユン・ゲサン、キム・ギュリ。
監督はチョン・ジェホン。
アクションと風刺劇のバランスよく、それでいて韓国と北朝鮮の切羽詰まった関係が垣間見える。
おそらく、韓国の人が観ると日本人より響くものがあるだろうなあ。
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