「トガニ 幼き瞳の告発」
韓国の聴覚障害者学校で起きた実在の性的虐待事件を基に映画化。
校長や教員が聴覚障害を持つ子どもたちに暴行や性的虐待を行い、それを隠蔽。
告発して裁判に持ち込むが、必ずしも正義が勝つという簡単なものではなかった…。
さすがに観ていて、これは気分がブルーになってしまう。
そもそもにおいて、やっていることがあまりにも最低。
当然、こんな奴らは重い罰を受けるべきだ。
しかし、この映画は現実の事件を元にしている。
つまり、必ずしも胸がすっきりするような終わり方ではないということだ。
被害者は耳も口も不自由で、中には知能障害もある子供であり、自分の意志を明確に伝えることはできない。
一方、相手は金も力もある大人である。
さらに勝つためには手段を選ばない。
正々堂々と戦うわけでもなく、あの手この手で勝とうとしている。
そしてそこには正義はない。
日本でも同じような水戸事件があったくらいなので、実は発覚しないだけであっちこっちで、この手の事件が発生しているのかもしれない。
この映画の主人公は問題の学校に知人の紹介で入ってきた教師で、家族は妻が死に喘息持ちの娘がいる。
彼は本当に良い人だ。
子供たちに親身になってくれる。
しかし、一方で思うのは、人間は他人にかまっている余裕はなく、自分の家族を守るだけで精一杯であること。
少なくとも自分はこの映画を観て、かわいそうな子供たちを何とかしようとは思えなかった。
むしろ、身内だけを守るだけしかなく、逆に身内は誰も守ってくれないことを改めて実感した。
気分はブルーになるが法廷劇は手に汗にぎるものがある。
出演は「あなたの初恋探します」のコン・ユ、「人喰猪、公民館襲撃す!」のチョン・ユミ。
監督はファン・ドンヒョク。
この映画で一大社会現象となり、映画の名から取った「トガニ法」という法律が制定され、学校も廃校となったらしい。
どこまで本当かわからないが、少なくとも映画の訴える力があると思いたい。
もちろん、それがいきすぎるとプロバガンダ映画になるわけやね。
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