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2012年8月31日 (金)

「トガニ 幼き瞳の告発」

Dogani 韓国の聴覚障害者学校で起きた実在の性的虐待事件を基に映画化。
 校長や教員が聴覚障害を持つ子どもたちに暴行や性的虐待を行い、それを隠蔽。
 告発して裁判に持ち込むが、必ずしも正義が勝つという簡単なものではなかった…。
 さすがに観ていて、これは気分がブルーになってしまう。
 そもそもにおいて、やっていることがあまりにも最低。
 当然、こんな奴らは重い罰を受けるべきだ。
 しかし、この映画は現実の事件を元にしている。
 つまり、必ずしも胸がすっきりするような終わり方ではないということだ。
 被害者は耳も口も不自由で、中には知能障害もある子供であり、自分の意志を明確に伝えることはできない。
 一方、相手は金も力もある大人である。
 さらに勝つためには手段を選ばない。
 正々堂々と戦うわけでもなく、あの手この手で勝とうとしている。
 そしてそこには正義はない。
 日本でも同じような水戸事件があったくらいなので、実は発覚しないだけであっちこっちで、この手の事件が発生しているのかもしれない。
 この映画の主人公は問題の学校に知人の紹介で入ってきた教師で、家族は妻が死に喘息持ちの娘がいる。
 彼は本当に良い人だ。
 子供たちに親身になってくれる。
 しかし、一方で思うのは、人間は他人にかまっている余裕はなく、自分の家族を守るだけで精一杯であること。
 少なくとも自分はこの映画を観て、かわいそうな子供たちを何とかしようとは思えなかった。
 むしろ、身内だけを守るだけしかなく、逆に身内は誰も守ってくれないことを改めて実感した。
 気分はブルーになるが法廷劇は手に汗にぎるものがある。
 出演は「あなたの初恋探します」のコン・ユ、「人喰猪、公民館襲撃す!」のチョン・ユミ。
 監督はファン・ドンヒョク。
 この映画で一大社会現象となり、映画の名から取った「トガニ法」という法律が制定され、学校も廃校となったらしい。
 どこまで本当かわからないが、少なくとも映画の訴える力があると思いたい。
 もちろん、それがいきすぎるとプロバガンダ映画になるわけやね。

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