「アメイジング・スパイダーマン」
サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演で4作目を作ると思ったスパイダーマンだが、キャストとスタッフを一新して映画化。
いわゆるリブートというらしい。
そして昨今の波に乗って3Dだ。
日本の特撮物だと、色々な種類を制作していくのだが、アメコミの場合はどちらかというと古典に近いものがあり、新しい解釈や表現でリセットして制作されることが多い。
今回もサム・ライミのスパイダーマン3部作はそれはそれで作品として認めながら、新しく作っている。
まあぶっちゃけハリウッド映画も企画がないってことだろう。
しかし、サム・ライミ版の記憶がまだ新しいので、どうしても比較してしまう。
スパイダーマン=ピーター・パーカーを演じるのは「ソーシャル・ネットワーク」のアンドリュー・ガーフィールド。
正直、トビー・マグワイアとどちらがいいかは、どっちでもいいんだけど、アンドリュー・ガーフィールドは少し線が細いかな。
ヒロインはキルスティン・ダンストが有無を言わせない不細工なので、今回のヒロインであるエマ・ストーンの方がかわいい。
しかし、残念なことにそのエマ・ストーンでさえも脇役のメガネっ娘にはかなわないのだった。
話の基本ラインは変わらないのだが、とにかく展開が遅い。
ピーターが蜘蛛に噛まれるまで→ベン叔父さんが死ぬまで→ピーターがスパイダーマンの完成するまでに1時間近くかかっているのだ。
そもそもアメコミのヒーローは漫画だと軽く流れていくが、現実世界にいたらかなり異常で、あんな派手なコスチュームを着て動いている理由がよくわからない。
そのため、アメコミのヒーローの実写化は、コスチュームを着る理由付けを明確にしなくてはならない。
スパイダーマンの場合、ベン叔父さんの死が色々な意味でのきっかけであり、ピーターが大いなる力をどう使っていくか決心する重要なところでもある。
しかし、今回の場合、その描き方があまりにも弱く説得力に乏しい。
正直言うとサム・ライミ版の方はベン叔父さんの死ぬエピソードは文字通り泣けるものがあった。
ところが今回の場合はそうでもなく、いくらリブートしたから新鮮味はないとしても、一番重要なところがイマイチなのが残念。
結局、今回の映画は語り口が悪く、全体的にもたついているのは否めない。
そう考えるとサム・ライミの演出はかなりテンポがよく、語り口がうまかったことを改めて実感した。
1時間くらい経過して、やっとスパイダーマンとしての活躍が始まる。
アクションシーンは3Dということも生かしたものとなっており迫力満だ。
しかし、せっかくの迫力あるアクションもそこに至るまでの動機付けが弱いために生きていない。
クライマックスの現場のおじさん連中によるクレーンのエピソードは、もっと感動するものがあるはずなのだが、そこに至るまでを描き足らないため、ちょっと不発気味なのだ。
やたらと長い上映時間なのに肝心の謎が解決していないのも残念なところで、昨今は続編のために色々な謎や伏線が投げっぱなしなのだが、それにも限度があるわけで、ある程度の収拾は必要だ。
とりあえず、原作の要素は無理っぽいところもあるけど、適当に入れており、ひょっとしてこれも続編と総合して観ていくと面白くなっていくのかもしれない。
監督は「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ。
それ故か、日常生活の描き方は青春物を見ているような感じがして悪くない。
ただ配分が悪いだけなのだ。
エンドロールで日本語の歌に差し替えがあったのはがっかり。
映画のエンドロールを日本語のイメージソングと差し替えるのは、過去のどれをとっても評判が悪くなるだけなのに、映画会社は何故同じことを繰り返すのだろう?
本編前か後にPVを上映しておけば誰も文句を言わないはずなのに、そんなことさえわからないのかな。
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