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2012年6月18日 (月)

「愛と誠」

Aitomakoto 「天才バカボン」目当てで読んでいた週刊少年マガジンだが、そのうちに他の漫画も読むようになってきた。
 その中には「愛と誠」も入っているのだが、やたらめったら熱い話で、結構グロいシーンもあったりして衝撃的だった。
 一方では少年漫画とはいえ、あまりにも壮大でベタな恋愛劇に、女性のファンも多かったように思う。
 それだけの人気作であれば、映画やテレビドラマになっても当然で、自分が観たのは西城秀樹と今は亡き早乙女愛(B85-W58-H85)だった。
 当時、秀樹はどうよ?と思ったが、当時の彼の人気は凄まじいものがあったので、この起用は成功だと言える。
 早乙女愛は当時は清純路線であり、まさか「女猫」でヌードになるとは当時誰も思わなかっただろう。
 と、まあこれが1970年代の話であって、まさか21世紀に映画化されるとは誰も考えもしなかっただろう。
 もはや、物語や時代があまりにも古くなりすぎて時代劇の域に突入しつつあるわけだが、一方では「あしたのジョー」さえも実写映画化しているくらいなので、何でもありなのかもしれない。
 ところが、実際に観てみると21世紀の「愛と誠」は意外にも真面目に作ってあるのに驚いてしまう。
 予告篇を見ると、正月に放送している「かくし芸大会」の中の劇や、懐かしの「月曜ドラマランド」のように思えるのだが、実際にはそうではなかった。
 賛否両論に分かれるミュージカルも、今や古典となりつつある原作を21世紀に映画化するにおいては極めて有効的であり、例えば真面目に実写化しても1970年代に作られた松竹版の焼き直しでしかなく、それこそ失笑物である。
 例えば「ロミオとジュリエット」を映像化するにしても色々な方法があるわけで、今回の「愛と誠」はバズ・ラーマンが監督したレオナルド・ディカプリオ主演の「ロミオ+ジュリエット」と同じようなものだと思えば納得できてしまうのだ。
 そう考えると最初に西城秀樹の「やめろと言われても、今では遅すぎる」という歌は正にその言葉通りで、やめるわけにはいかない。
 つまりあの歌が、この映画の世界観を説明しており、ここでいくら抵抗したところで、「やめろと言われても、今では遅すぎる」のだ。
 また、この歌は何気に西城秀樹の歌であることで、松竹版の方に敬意を払っていると思うのは考えすぎか。
 漫画の映画化というとどうしてもキャスティングが気になるところ。
 太賀誠を演じているのが妻夫木聡って、彼の学生役は30回ってもありなのか?


Aitomakoto1_2


 早乙女愛役の武井咲(B76-W58-H82)は髪形のせいか、原作の雰囲気を掴んでいたと思う。
 むしろ、この役を30過ぎの女優が演じていたら、それは昔のエロ映画になってしまう。

Aitomakoto2_2

 しかし、主演の2人があまり目立たないのは脇役にキャラの濃い役者が配置されているからで、特に岩清水弘を演じる斎藤工とガムコを演じている安藤サクラ(B83-W58H80)、さらには座王権太役の伊原剛志のハイテンションな怪演はあまりにも目立ちすぎ。
 特に斉藤工は岩清水のうざいくらいの熱いキャラを演じきっている。

Aitomakoto4_2


 今考えると、岩清水のキャラって単なるストーカーでしかない。
 ちなみに今更だけど「1・2の三四郎」の岩清水健太郎は彼のパロディということは今更説明するまでもない。
 安藤サクラはパンツまで見せての熱演だが、残念なことに微塵も色気を感じない。

Aitomakoto6_3

 まさか原作の逆さ吊りが再現されるとは思わなかった。
 あれって、連載で読んでいた時はかなりショッキングだったので、ちょっとトラウマが甦ってきたですよ。
 原作の座王権太は、不細工&太っているというイメージなので伊原はちょっと違う感じがしたが、おっさんにしか見えん病と悩んでいる設定で許せた(笑)

Aitomakoto3
 実は趣味が鉄ちゃんという設定は映画では当然触れていない。
 高原由紀役が大野いと(B80-W59-H85)ってどうよ?と思った。

Aitomakoto5
 何しろ原作は寂しい大人の色気が漂っていたからだ。
 しかし、それよりも大野いとが「高校デビュー」の時よりも痩せていて誰かすぐにわからなかった。
 演技は相変わらずなのだが…。
 個人的には砂土谷峻が出てこなかったのが残念。
 監督が「クローズZERO」「ヤッターマン」の三池崇史なので、手堅くまとめてあるし、笑いも適度に入っており、皆がツッコむようなところも劇中でツッコんでいるので、確信犯的にやっていることがわかる。
 幼少の頃をアニメで見せているのだが、ここはやっぱり、ながやす巧先生の絵を使うべきだったと思う。
 しかし、今回は角川映画で講談社が関係していないのは何故?
 ただ、異色かつ意欲的な作品だけど、上映時間が長すぎる。
 ミュージカルのシーンがあるので、そうなってしまうのは仕方ないかもしれないが、ここは2時間以内でまとめるべきだろう。
 ちなみに観客は異常に少なく、興行的に失敗している感じは否めない。
 将来的にはカルト扱いになってしまうだろうなあ。

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 今回の映画化は原作好きの者にとっては喜ばしいかぎりです。
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