「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」
1970年11月25日に防衛庁内で割腹自決を遂げ た三島由紀夫と、彼と行動をともにした楯の会学生長・森田必勝。
この2人を中心として、自決に至るまでの経緯を描いた実録映画。
そもそも作家として成功し、ノーベル文学賞の候補までになった三島由紀夫が、何故あのような行動を起こしたのかは理解に苦しむものがある。
この映画を観ていると、真実はわからないが、三島由紀夫のこうであろう思想がわかって興味深い。
歴史物の面白さは、そこに至るまでを史実を踏まえていかに想像を膨らませて構築していくかが醍醐味である。
特に三島由紀夫の場合は最後が確実に決まっているため、そこに至るまでの状況や考えを如何にもっともらしく描くかが最大のポイントである。
民族派の若者たちを集めて民兵組織「楯の会」を結成し、有事が起きた場合には自衛隊と共に決起できるようにと訓練を行っていたが、自衛隊には能動的に出動する機会も権利もないことを知り、落胆と 不満を抱き、そのやり場のない気持ちが、あのような行動を起こすことになる。
とにかく、熱い。
無駄に熱い。
自分は学生運動をテーマにした映画が意外と好きだ。
今の学生に比べると遙かに熱く、行動的だからだ。
結果的には何が大きく変わったわけでもないし、おそらくあの当時、運動に参加していた人の多くが、卒業後は何事もなく就職し、結婚して家庭を持って暮らしているだろう。
ところが、なまじ成功して金があると、徹底してやってしまので、こうなってしまうのかもしれない。
これは自分の個人的推測なのだが、三島由紀夫も自衛隊の市ヶ谷駐屯地での行動で何かが変わるとは期待していなくて、どちらかといえば自分の気持ちの決着であったり、美学のための行動ではないかと思われる。
そうでないと、日本刀への拘りとかはありえない。
しかし、「わが母の記」でも思ったけど、作家って売れると物凄く儲かるんだなあ。
出演は井浦新、満島真之介、タモト清嵐。
監督は若松孝二。
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」とセットで観ると感慨深いものがあるかも。
参加してます。よろしくで~す
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『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』、『キャタピラー』の若松孝二監督最新作は、1970年11月25日に防衛庁内で割腹自殺を遂げた三島由紀夫と「盾の会」に参加した若者たちを描いたドラマだ。三島由紀夫役を『空気人形』の井浦新が熱演する。共演には『キャタピラー』の寺島しのぶ、『極道めし』の永岡佑らが出演。... [続きを読む]
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「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」★★★☆
井浦新(ARATA)、満島真之介、
タモト清嵐、岩間天嗣、永岡佑、
鈴之助、渋川清彦出演
若松孝二監督、
119分、2012年6月2日公開
2011,日本,若松プロダクション、スコーレ株式会社
(原題/原作:11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち )
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今日映画を見てきました。私の青春時代とほぼ一致しており、なつかしく見どころも多く、いい映画だと思いました。
ただ、長官を人質にした盾の会の要求文書を入口越しに受け取った自衛官が、それを読み上げるシーンで、「・・・を遵守しなければ・・・」の部分を、「・・・をソンシュしなければ・・・」と読み上げていた。細かいことかもしれないが、後世に残るいい作品だけに残念で気になりました。
投稿: 原孝太郎 | 2012年7月17日 (火) 23時14分