「わが母の記」
子供の頃に母に捨てられた(と思いこんでいる)記憶により、母親と距離をとっていた息子が、年老いていく母と向き合った日々を描いた井上靖の自伝的同名小説の映画化。
これが「しろばんば」の元ネタかと思うと興味深いものがある。
年老いた母親が呆けていて、とんちんかんなことをやらかし、そこで皆が笑うのだけど、そこで笑えるのは幸せな人に違いない。
だって、実際に年取った親ってあんな感じだし、一緒に住んだら物凄く苦労するし辛い。
特に呆けてきたり体が不自由になってきた親を抱えるのは大変だ。
この映画に出てくる年老いた母親の奇行は笑えるどころか、他人事には思えないのだ。
小説家というと貧乏なイメージがあるのだが、この映画に出てくる先生は運転手にお手伝い、別荘もあって、娘をハワイに留学させることができたりするのが意外だった。
売れっ子作家はこういうものなのか?
昨今の映画は落ち着きがないのが多いのだが、この映画はじっくり丁寧に描かれているのが良い。
特に作家先生の優雅な生活はビシビシと伝わってくる。
話の根本はホームドラマであり親子の話だ。
母に捨てられたとの気持ちが拭えず、いい大人になっても心の傷になっている息子だが、自分が親になると必要以上に子供たちに干渉してしまう。
それは幼少時の反動かもしれない。
もちろん、親子の関係は一筋縄でいくわけもなく、愛情の方法は様々だ。
この映画は多角的に親子のあり方を描いており、それらにはどれも納得できるものがあるし、だからこそ共感できてしまうのだ。
おそらく、これは年取らないとわからないだろうが、年を取るとこの映画の良さがわかってくる。
そう考えると自分も若くないとつくづく感じてしまうのだ。
主演は役所広司と樹木希林。
共演は宮崎あおい(B77-W57-H82)、南果歩(B80-W60-H88)、キムラ緑子、ミムラ(B83-W59-H86)、そして気を抜いているとどこに出ているかわからない三國連太郎。
監督は「クライマーズ・ハイ」の原田眞人だが、どちらかというと森田芳光監督が取りそうな感じかな。
参加してます。よろしくで~す
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