「ピープルvsジョージ・ルーカス」
2012年のガッカリした映画の上位に来るのは間違いなく「STAR WARS エピソードI/ファントム・メナス 3D」で、期待していた程3Dの効果が出ていない以上に、ジョージ・ルーカスの感性が思いっきりズレてきていることがよくわかった。
自分はスター・ウォーズが好きだ。
だから、薄くて高い「スターログ」だって買ってたし、人生最初の大きな買い物であるビデオデッキだって、テレビで放送するから金をかき集めて購入した。
テレビ放送1回目の吹替はトホホだったが、今だって宝物として消していないし、捨ててもいない。
しかし、そんな想いと裏腹に当初9部作だったものが、6部作になり、しょうもないスピンオフも出てきたりして、やっと制作されたエピソード1も、期待値が高すぎたのかイマイチのできだ。
エピソード2でR2-D2が空を飛んだ時点で自分の中で何かが終わりつつあるのを感じた。
それ以上に彼が昔の作品を改悪していることに怒りを感じた。
確かに昔の映画は古く感じるし、当時の技術は拙いものがあるかもしれない。
しかし、それがダメであるわけではない。
映画は技術的なものだけではないからだ。
昔の作品をこねくり回しているよりも、新作を作るべきだし、たとえこねくり回すにても過去の作品は封印するべきではない。
ところが、ルーカスはソフトを出す度に改悪していく。
そしてファンも何の迷いもなく購入していく。
正にルーカス教だ。
このあこぎな商売に誰も疑問を抱かないのか不思議だったが、この映画を観て安心した。
自分だけではなかったのだ。
この映画は、オリジナルへの愛が強すぎるあまり、作品の生みの親であってもオリジナルを尊重しないルーカスは許せない、という ファンの言い分と複雑な心情をユーモラスな筆致で明らかにしていくドキュメン タリー。
見てていると、「ああ、わかるわかる」とうなずいてしまう。
当たり前のことだが、スター・ウォーズを観ていないとわからないし、もっといえばリアルタイムで体験していないと伝わらない。
確かに何故、ルーカスがあそこまでこねくりまわすかがさっぱりわからない。
1997年の「スター・ウォーズ 特別篇」は、久しぶりに劇場で観ることができることに喜んだだけで、追加や変更はどうでも良かった。
待望の「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」も、ボットレースとダース・モールは面白かったけど、映画全体を通して観るとあまり面白くもない。
おそらく監督は人に任せて、ルーカスは製作総指揮に徹した方が良いと思われる。
結局、皆、文句を言いながらもスター・ウォーズが好きなのだ。
だからこそ、別に改悪しなくてもオリジナルをそのまま上映しても観にいく人は多いはず。
少なくとも昔からのファンの想いを壊すよようなことはしてほしくない。
今回の3Dを観てがっかりした自分のようなファンをこれ以上増やさないでほしい。
この映画はファンの心理を代弁するような感じで大変興味深い。
日本で、この手のドキュメンタリーを作るなら。やっぱり「宇宙戦艦ヤマト」だろうなあ。
参加してます。よろしくで~す
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