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2012年4月21日 (土)

「311」

Photo あの日、あの時。
 自分は外で突然目眩のようなものを感じた。
 それは体調不良ではなく、地震だった。
 帰ってテレビを見ると、まるでパニック映画のような光景が映し出されていた。
 しかし、それは現実だった。
 その後、テレビは連日、地震についての報道だけで、それ以外はACのCMばかりだ。
 台風は進路予想ができるが、地震はいつ何時発生するかわからない。
 何とも言えない不安な状況でしばらく過ごすことになった。
 しかし、それは被災地から遠く離れた場所のことであり、現地ではそんな状態では済まない。
 この映画は森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓冶の4人が震災直後の被災地に赴き、現地の様子を記録した映像である。
 2011年3月26日、放射能検知器を搭載した車で、4人は被災地に向かう。
 目的は震災の現場を自分の目で確認することだ。
 福島第一原発への接近(到達できず)、岩手・宮城の津波の被害を受けた土地の訪問、最後は津波に飲み込まれた石巻市立大川小学校に辿り着く……。
 自分達は行く以外に、テレビでしか現地の様子を知ることはできない。
 しかし、そのテレビも自粛や規制と称して、相当な制限をしている可能性は極めて高い。
 例えば阪神大震災の時も、悲惨な場所ばかりがクローズアップされてしまっていたが、全体を考えるともう少し多岐に渡っているのだが、テレビではそれがうまく伝わっていない。
 現地に実際に行くと、ちょっと違うことに違和感を覚えるはずだ。
 自分が、この映画を観にいった理由は、テレビで放送しない現実を見ることができるかもしれないと思ったからだ。
 確かにテレビとは違う生々しい箇所もある。
 一方では撮影をする彼らに、遺族の批判が向けられる。
 遺体発見の模様を撮影していると、遺族の一人から角材が飛んでくるのだ。
 遺族としては遺体を撮影されることに不快感や不信感を感じる。
 しかし、傷つけていることは申し訳ないと感じているが、撮影は続行する4人。
 実はこの映画の重要な箇所はここに集約されている。
 双方の主張は平行線のままだ。
 いつのまにか現状確認がドキュメンタリー映画の制作になっている。
 これをジャーナリズム魂と言うべきか?、
 それは誰に対してのものなのか?
 賛否の分かれるところだ。
 申し訳ないけど、どんな大義名分があろうが、当事者でなければ単に野次馬でしかなく、当然、当事者の気持ちはわからないし、それは映像では伝わらない。
 この作品は、最初は記録だといいながらも、結局、1本の作品になっているし、おそらく最初からそうしようと考えていたような気がする。
 だからといって、この映画がダメかと言えばそうではない。
 彼らの動きはともかく、テレビでは放送しないような映像が出てくるのは興味深い。
 知っている方がいいのか、知らない方がいいのか
 答えを出すのは難しい。
 一番いやなのは映画やドラマのネタになって終わりになることかもしれない。
 
 

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» 311 [LOVE Cinemas 調布]
東日本大震災から2週間後、映画監督の森達也・映画プロデューサーの安岡卓治・ジャーナリストの綿井健陽、松林要樹の4人が被災地現認のために現地入りし、カメラを回したものをドキュメンタリーとして構成した。大震災の記録の側面もあるが、メディアのあり方、日本人の心の在り方を考えさせられる。... [続きを読む]

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