「幕末太陽傳 デジタル修復版」
ビデオが出てきた時に名画座はなくなるだろうと言われた。
実際、数多くの二番館や名画座は少なくなったと思う。
しかし、意外にも別の形で旧作を観る機会が多くなってきた。
それがデジタルリマスターやニュープリントだ。
これは映画の魔法の言葉であり、往年のファンは懐かしさとどれくらいの画質になったか興味があって観にくるし、未見の人は新作気分で観にきてしまう。
自分も時々、デジタルリマスターやニュープリント板を観にいくことがあるのだが、意外に客入りが良い。
いずれにせよ、名画座が少なくなったが、何らかの形で旧作を観ることができるのは嬉しいことである。
今回、デジタル修復版と言うだけあって、目茶苦茶きれいな画質なのに驚いた。
話は今更説明するまでもなく、金もないのに遊郭で豪遊し、そのまま居残ってしまう男の話で、主演のフランキー堺のキレのある動きが素晴らしい。
喜劇役者たるもの話が面白いだけではなく、いかにうまく動けるかであり、エノケンの例を出すまでもなく、初期の「男はつらいよ」の渥美清もとことん動いていた。
フランキー堺もこの当時は勢いがあり、口八丁手八丁でその場をしのぐという役に正にぴったりだった。
そしてその中でもラストの走りは美しい。
主役級なのに脇役に甘んじている石原裕次郎も有無を言わせないくらいかっこいい。
南田洋子も若くて美人だ。
実は何気に日活オールスター映画だったりする。
しかし、だからといってちょっとひねくれたところがあるのが、監督である川島雄三の心意気かもしれない。
ひょっとして幻のラストがあるかもしれないと、ちょっと期待していったが、そんなものはあるわけもなく、それは脳内で楽しむか、昔のヤングジャンプに載っていた「栄光なき天才たち」を読むしかないんだろうなあ。
いずれにしろ、デジタルリマスターやニュープリントは旧作というより全くの新作のような感じで、新しい発見がある。
日活には次は是非とも「丹下左膳余話 百萬両の壺」のデジタル修復をお願いしたい。
できればロシアのどこかでカットされた場面も見つけて復活させてほしい。
参加してます。よろしくで~す
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