「50/50 フィフティ・フィフティ」
日常生活において、宇宙人が襲来したり、ゾンビが襲ってきたりする確率は極めて低く、テロリストでやっとパーセンテージが上がる程度である。
特に日本でテロに巻き込まれることは、幸いにしてない可能性が低い。
だから大ヒットの人気映画に出てくる命を脅かす危機が実際に発生することは極めて少ないと言える。
しかし、大ヒット映画のあるジャンルは極めて多くの人に、実際に降りかかる要素が大きい。
そのジャンルは、いわゆる難病物だ。
特に癌は多くの人が患う可能性が大きい。
あまりにも日常に身近なために感情移入がしやすいのだが、一方ではその分安直な話が多いのも確かで、この手の映画は傑作か駄作の両極化になってしまう。
ダメなパターンの多くは、出てくる病人が極めて健康的すぎることであり、余命あと少しの割りにはやたらめったら元気なのだ。
実際の闘病生活をしている人を見るとわかるが、余命わずかな人は生きていることが精一杯で、何かやりたいことと聞けば、「このまま寝ていたい」という返事が返ってくるくらいで、思い出作りに遊びにいったりすることは絶対にない。
もっといえば、本人も周りも憔悴しきってしまう。
この手の経験を一度でもしてしまうと、病気で愛する人をなくす悲しみは理解できても、あまりにも嘘臭い闘病生活には疑問を抱くのだ。
この映画は、癌で生存率50%と宣告された青年の闘病記だ。
こう聞くとまたかと食傷気味になってしまうが、この映画はひたすら明るい。
何しろ彼の友人が、癌でさえもギャグにしてしまう不謹慎な男なのだ。
しかし、これくらいじゃないと必要以上に雰囲気が悪くなるのも確かで、この映画の主人公は彼の友情に救われ、前向きに生きていこうとしている。
こういう難病モノもありだが、決して病気を軽く見ているわけでもない。
むしろ、明るい裏での死の恐怖がより際立ってしまうのだ。
病気の本人だけでなく、周りの人間を描いているのも珍しい。
いつも通り接するのがどれくらい難しくて辛いことか。
主人公の友達は無神経に見えるが、実はそうではなかったことを知った時にはちょっと泣けた。
まあ、普通は恋人のように精神的にボロボロになっていくだろうなあ。
主人公は酒もタバコもやらないのに癌って、健康作りではなく運としか思えない。
それもまた人生か。
主演は「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レヴィット、共演にアナ・ケンドリック。
監督はジョナサン・レヴィン。
病気の描き方には専門家はツッコミを入れるかもしれないが、自分はそこまで気にならなかった。
難病モノだけど青春物としてもありだ。
参加してます。よろしくで~す
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