「ショージとタカオ」
1967年に発生した布川事件で強盗殺人容疑で逮捕され、無期懲役の判決を受けた桜井昌司氏と杉山卓男氏。
20歳の時から29年間を獄中で過ごし、96年に仮釈放となった後も再審請求し、2009年12月、ついに再審が認められる。
この映画は96年秋の仮釈放直後から2010年夏まで追いかけたドキュメンタリー。
2011年5月24日、運命の判決が下る。
無罪。
本当なら1カ月前に判決が出ているはずなのだが、震災の影響で延びてしまった。
もし、1カ月前に裁判の結果が出てぶわ~っとニュースなんかで取り上げられたら良い宣伝になるだろうなあと思っていた映画館は誠にもって運が悪いとしかいいようがない。
一方、これから公開する予定(特に今週末)もしくは上映中の映画館はは正に美味しいと言えるだろう。
判決が出る前と出た後では若干作品に対しての感想が変わりそうだが、どちらにしても観た方が良い傑作であることは間違いない。
ただし、この映画は事件の真相を追うことではなく、仮釈放で29年ぶりに刑務所から出所した二人が、正に浦島太郎状態で、変わり果てた社会に戸惑いながらも、人間らしい生活を取り戻していく様子を描いている。
なんと、この二人は結婚までしているのだ。
この驚愕の事実に敗北感を持った人もいるかもしれない。
自分は裁判の再審の結果が出る前に、この映画を観たのだが、二人が人間らしい生活を徐々に取り戻そうとしているのに、もし有罪だったらどうなるんだろう?という物凄い恐怖を覚えた。
もし、無罪を知ってから観たら、今までの29年の獄中生活は取り返しがつかないことになるし、彼らの一番若く楽しいはずであろう時期を無駄にしてしまう。
今度はその怖さを感じるに違いない。
これだけ緊迫感のある映画は「ゆきゆきて、神軍」以来で、尚且つ現在進行形というリアル感はドキュメンタリー映画ではそれ程多くない。
今回無罪となったが、今度は警察や検察などの責任を追求していくべきかもしれない。
確かに当時の二人は不良少年だったらしいが、ど~考えても決めつけでやっているようにしか思えないのだ。
まあだからこそ、疑われるようなことはしないというのが大切なんだろうなあ。
ショージは背が低くて喋りがうまい。
タカオは身長が高く口ベタ。
見た目も性格もC―3POとR2―D2を思わせるし、ここまでキャラが立っていると、ドキュメンタリーでも話が作りやすいんだろうなあ。
監督は井手洋子。
2010年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第1位も納得。
これが商業映画扱いだと「キネマ旬報」の表紙にショージとタカオが出てる可能性もあったのか?(笑)
参加してます。よろしくで~す
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