「ダンシング・チャップリン」
「Shall We ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督の最新作はドキュメンタリー映画だった。
フランスの振付家ローラン・プティがチャップリンを題材に、ダンサーのルイジ・ボニーノのために振り付けた作品「ダンシング・チャップリン」を映画化するまでを追ったドキュメンタリーと、その完成品の二部構成になっている。
第1幕アプローチでは振付のローラン・プティと周防監督との打ち合わせや、彼の嫁・草刈民代やルイジ・ボニーノを含むダンサーたちの練習風景の舞台裏を紹介。
映画と舞台の表現方法の違いの激突が見物で、舞台をそのまま撮影するだけだったら映画としての意味はないし、映画のようにリアルに小道具を揃えていたら必要最小限の小道具で表現する舞台の意味はない。
当然、ローラン・プティと周防監督はそれぞれの表現方法で対立してしまう。
そのかけひきもさることながら、いかに舞台と映画の融合をしていくかの過程が面白い。
一方ではダンサーの練習風景も鬼気迫るものがあり、特に草刈民代は「Shall We ダンス?」では役柄、相当抑えていたことがよくわかった。
実際のバレリーナとしての彼女の動きは鳥肌ものだ。
この後、第2幕でいよよ完成品のお披露目になるはずなのだが、ご丁寧にも5分間の「幕間」があるのだ。
確かにちょっと長い上映時間だけど、休憩は必要か?と思ったが、観客の気持ちを切り替えるためには必要かもしれない。
そしていよいよ第2幕バレエでは、1991年の初演時には全2幕20場で構成されていたバレエ作品を、13場に絞りこんで再構成したものを<映画>として見せている。
チャップリンの「ライムライト」、「街の灯」、「黄金狂時代」、「キッド」、「モダン・タイムス」、「犬の生活」、さらにはサイレント映画でお馴染み警官の追っかけなどをバレエとして構築したものを、さらに映画として構築している。
実は前から舞台の映画化には限界を感じていて、カット割りをしすぎるとチープな背景のテレビドラマになってしまい、役者の息遣いが感じられない。
さらに、フィックスで放置だと単なる記録ビデオになってしまう。
今はDLPなどのおかげで、音楽や演劇を映画館で観ることができるが、何か足りないものを感じていた。
しかし、今回の映画を観た時に、そうかこういう方法があったかと目から鱗がこぼれてしまった。
もちろん、人によってはそんなものかと思うかもしれないが、少なくとも自分は映画と演劇の融合の答えの一つが出たのではないかと思う。
参加してます。よろしくで~す
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「ダンシング・チャップリン」★★★☆
ルイジ・ボニーノ、草刈民代、
ジャン=シャル・ヴェルシェール、リエンツ・チャン出演
周防正行監督、
131分 、2011年4月16日公開
2011,日本,アルタミラピクチャーズ、東京テアトル
(原作:原題:ダンシング・チャップリン)
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2011年・日本/配給:アルタミラピクチャーズ、東京テアトル監督・構成・エグゼクティブ・プロデューサー:周防正行振付:ローラン・プティ音楽:チャールズ・チャップリン、フィオレンツォ・カルビ、J・S・バ... [続きを読む]
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