「死刑台のエレベーター」(2010)
1957年のフランスのルイ・マル監督作品「死刑台のエレベーター」が日本版としてリメイク。
オリジナルは今更説明するまでもないが、社長夫人と不倫関係にある男が、社長室に忍び込み、自殺に見せかけて社長を射殺したまでは良かったが、部屋に証拠を残してきたことに気づき、エレベーターに乗ったら警備員に電源を切られて閉じ込められてしまう…という話で、一方では同時進行で若いカップルが彼の車を盗みドライブに出掛けてしまい、状況がどんどん悪くなっていく…という話で、マイルズ・デイヴィスの演奏が効果的だった。
今回のリメイクは、現在の日本が舞台になっている。
医療グループの社長夫人と愛人関係になった医師が、彼女の年の離れた夫を自殺に見せかけ殺害することを計画したが、アクシデントが重なってエレベーターの中に閉じ込められてしまう…という話で基本ラインは同じ。
昔の映画を現在に置き換えて映画化する時にネックになるのが、携帯電話だ。
携帯電話があるばかりに、昔なら障害になりそうな状況がなくなってしまうのだ。
この映画も、携帯電話が使用できない状況を作らなくてはならないため、そのための理由付を作らなくてはならない。
それ以外にも、フィルムのカメラが、現在のデジカメや携帯で撮影できる状況では話が成り立たない。
しかし、フィルムでないと最後のオチが生きない。
オリジナルでの小道具が現在だと発展しすぎているため、フィルム式のカメラが出てくる状況を無理無理に作らなくてはならないのだ。
オリジナルだと週末に建物の主電源を全部落とされてエレベーターに閉じ込められるのだが、さすがに21世紀になると、セキュリティの問題や、サーバーを使っているので、主電源を落とすというのもありえない。
そのため、古いビルで会社の方針で主電源を落とすという設定にしている。
しかし、その状況と整合性を説明とするために、時間が費やされてしまうのだ。
一方では、人を殺してまでの男女の切羽詰まった状況が描かれていないし、オリジナルに出ていた若い男女が、この映画では本格的なバカップルになっている。
というか、全体的に登場人物の行動が唐突すぎて、サスペンスが全く盛り上がらないのだ。
まあそれ以前に、叩かれるのにこんな企画が通ってしまうのが不思議だ。
出演はエレベーターに閉じ込められる男に阿部寛。
彼に殺しをさせようとする女に、2009年のダメ映画1位(毎回しつこく言い続けているが)の「白夜」のヒロインを演じた吉瀬美智子(B80-W59-H86)。
個人的に彼女に魅力を覚えないんよね~。
だから、彼女のために殺人までやる男の気持ちがよくわからない。
行動が異常な若いバカップルに玉山鉄二と北川景子(B76-W55-H76)
監督は「いつか読書する日」の緒方明。
とりあえず、古典に挑戦してみました~みたいな感じの映画なので、心意気だけ買ってやって下さいよ。
参加してます。よろしくで~す
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