「トルソ」
業界って言葉ひっくり返すことが多いじゃないですか。
例えば「めし」のことを「しーめー」とか、「ビール」のことを「ルービー」とかね。
だから、アンジェリーナ・ジョリーの新作を業界で「トルソ」といっても不思議ではないはず。
そんな業界かぶれの輩がうっかり観にいって、派手目のメイクのアンジーのど派手なアクション満載かと思ったら、ノーメイクの女性のえらく地味な映画だった……ってそんな間違いする奴いねえよ。
この映画はスパイ容疑をかけられた女性が、真実を追求するため、トラックの屋根の上を走り回ったりしている話ではなく、「誰も知らない」「歩いても 歩いても」のカメラマン、山崎裕の初監督作品だ。
アパレル会社の独身OLヒロコは、ノーメイク、合コンは不参加、携帯電話も持たず、音も映像も無い自宅で自炊して毎日を過ごしている。
そんなある日、異父妹で何かとはた迷惑なミナから、ヒロコの義父 に当たるミナの実父が脳梗塞に倒れ、間もなく他界したことを知らされる。
しかし、義父のことを良く思っていなかったヒロコは葬儀にも出なかった。
それから数日後、ヒロコの元恋人ジロウと付き合っているミナが、ジロウの暴力と浮気に愛想を尽かし、ヒロコの部屋に転がり込んできた…。
ちなみにトルソというのは、顔と手脚の無い男性の身体を模した人形のことで、ヒロコは空気を吹き込み、一緒に風呂に入ったり、海に行ったり、時にはベッドを共にしたりして、愛を埋め合わせている。
乱暴に言えば、女性版「空気人形」みたいな感じか。
そんな「キャタピラー」の芋虫男の人形版みたいなのを相手にしているのには、若干の抵抗感はあるものの、それ以外は、女性の妙な生々しさが出ていて、その意味ではトルソも、人に言えないような性癖みたいなものと考えればリアルだ。
また独立した妹と、何かに依存癖のある妹の、父親違いで正反対な性格の姉妹という設定も面白い。
この二人が短い同居生活を通して、お互いを理解し、それぞれの悩みを越えて再生していく。
演じているのが渡辺真起子(B75-W60-H89)と安藤サクラ(B83-W58H80)という絶対的に美人でないのがあまりにも現実的だ。
渡辺真起子が裸になった時の下腹の出方が35歳という設定に有無を言わせないものがあり、安藤サクラの絶対的不細工さも、学校や職場に一人はいそうな存在感がある。
正直、観ていて明るくなる映画ではないのだが、物語の中で「夢をかなえるためには何でもする」という女の子が出てきて、夢のためだったら妊娠していても堕ろすと言い切ってしまうのだ。
もちろん、これには人によって賛否両論なのだが、その心意気にはちょっとだけ賛同!
参加してます。よろしくで~す
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