「カラフル」
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」や「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督が森絵都の小説をアニメ映画化。
ある罪を犯して彷徨っていたひとつの魂に、天使(?)から、抽選に当たったので、人間界に戻って再チャレ ンジのチャンスが与えられたことを告げられる。
自殺した中学三年生の小林真という少年の体を借りて、半年間その家族や周囲の人々との暮らすことになったのだ…。
これはかなりの秀作!
今年は「告白」といい、この映画といい中学生が主人公の映画は当たり年か?
とにかく、最初から最後まで妙な緊迫感がある。
それは半年という期間限定で再挑戦のチャンスをものにできるかではなく、登場人物それぞれの脆さが、いつ壊れるかという危うさから来るものだ。
「1、2の三四郎」の作者みたいな名前の小林真は、いじめられていて友達はいない。
唯一の楽しみは絵を描くことくらいだ。
彼の自殺の原因は、母親の不倫と密かに想いを寄せていた後輩のひろかが援助交際をしていたことを知ったからだった。
能天気で人がいいだけが取り柄の出世しない父親や、自分を見下した成績優秀の兄…真の環境は最悪だ。
しかし、真の中の”魂”は、絶対に真らしくない行動をすることにより周囲を困惑させる。
逆にそうすることにより見えてきたことや、自分にも変化が出てくる。
実は家族が真が思っている以上に気にかけてくれているし、ちょっと積極的な行動によって自分の状況も大きく変わっていく。
今までいなかった友達ができるだけで、世の中は明るく楽しくなるものなのだ。
本当は取り巻く状況は微塵も変わらないとしてもだ。
この映画は、今では意外に思い出すことができない、友達のできていく過程を懇切丁寧に描いている。
正直、真の友達になる早乙女君はお世辞にもできのいい男子ではない。
成績だってクラスでびりから2番目だ。
ちなみにビリは真だ。
こんな底辺の二人は他人から見れば最低限の馴れ合いに思えるかもしれない。
だけど真にとっては何よりも大切なものなのだ。
だからこそ、家族会議で進学について早乙女君と同じ高校に行きたいという涙ながらの言葉は、観ている者の心に響くものがあるのだ。
真が密かに憧れるひろかも援助交際をしているが、一方では正に娼婦と淑女の心境をいったりきたりしている。
人間は良い意味でも悪い意味でも色々な面を持っているし、一面だけ見て判断はできないのだ。
その意味ではタイトルのカラフルはいいえて妙なのだ。
人間再生ドラマとして、かなりの傑作であり、アニメの底力を強く感じた。
おそらくこの映画が心に響くのは年取ってからだと思う。
わかっているようで何もわかっていない中学時代を思い出し、自分が親になった時に沁みるものがあるのだ。
出演は小林真に冨澤風斗。
当然、昨今のアニメ映画と同じように声優でなく、役者を使っているのだが、母親役の麻生久美子(B80-W59-H83)はすぐに彼女とわかるが悪くない。
一番心配していたひろか役の南明奈(B80-W59-H83)は、むしろ合っていたと思う。
しかし、何よりも凄かったのは真と同じクラスの不細工でどもりのメガネっ娘を演じた宮崎あおい(B78-W57-H78)で、もはや彼女は何をやらしても最強だ。
真の父親が顔を上げた時に、カメラがフォローしたのに驚いた。
実写だったら大したことではないが、アニメでこれは凄いと思う。(見間違いだったらスマソ)
参加してます。よろしくで~す
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1日のことですが、映画「カラフル」を鑑賞しました。
死んだ主人公の魂が 当選によって 天使により
自殺した少年 真の体にホームステイすることになって・・・
なんともファンタジーな感じながらも
その後はあくまで普通の青春劇
派...... [続きを読む]
南明奈さんが想定外にうまかったのは驚きましたが、宮崎あおいさんのうまさはこれまた格別でしたね。
普通に声優もどんどんやって欲しいと思いましたわ。
個人的に麻生久美子さんだけが、うまいんだけど、どうも若い声に聞こえてしまって、お母さん役には違和感を感じました。
でも、悪くはなかった、うん、悪くない、悪くない。
投稿: かみぃ | 2010年8月27日 (金) 04時03分
>かみぃさん
いや、フラメンコ習って不倫しているくらいなので、ちょっと若い感じが大切で、そう考えると麻生さんはハマリ役ではないかと思います。
投稿: 管理人 | 2010年8月28日 (土) 00時24分