「彼とわたしの漂流日記」
人生に絶望し、ソウル市内に流れる漢江に飛び込んで自殺をするはずだったサラリーマンのキムだが、見事失敗、中洲に漂着して自給自足の無人島生活をするハメになってしまう。
そんな彼の様子を対岸の高層マンションから観察するそ引きこもりの女。
果たして不器用なふたりが奇跡的に出会うことはできるのか…。
無人島といっても大海原のにあるのではなく、都会を流れる河の中洲というのが面白い。
確かに橋の柱は登ることはできないし、泳げなければ河を渡ることはできない。
遠くに街が見えているのにたどり着くことはできない。
そういえば「オープン・ウォーター2」という映画で、ハシゴがないために海からクルーザーに上がることができないという話が妙にリアルな怖さがあったが、それに近いものがある。
自分もぎっくり腰で身動きできなくなった時があったが、意外に街の中でも孤立無縁というのはあることを実感した。
さらに、この映画は精神的無人島と言うべき引きこもりを登場させることにより、同じような境遇の男女が近くなのに遠い存在のお互いを意識しながら、出会うまでを描いている。
バカバカしい設定なのに、真っ当な人間再生を描いているのは見事。
出演はチョン・ジェヨンとチョン・リョウォン。
監督は「ヨコヅナ・マドンナ」のイ・ヘジュン。
映画の重要な要素である民間防衛訓練が、韓国が休戦中であることを改めて感じさせる。
そういえば昔、韓国に行った時に、ガイドさんが何かにつけて「有事の際には」を連呼していたなあ。
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笑ってはいられない切なさ。
ラスト、ほんとに出会えてよかったよ。
純粋にフィクションだからこそ、純粋に面白い物語が生まれる。たまたま突然にではあるが、「フィクションである事のこだわり」について熱く語ったM春樹のインタビュー記事を思い出した。この映画も、ありえない奇抜な偶然が重なり合いながら、しだいに二人だけの濃密な物語世界が描かれていた。そのありえないけれども、もしかして、、、、と思わせる物語リアリティを生み出しているところがこの作品の素晴らしさである。「希望」という切なるものを追いかけた可... [続きを読む]
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中々映画館でかからず、やっとかかったので見てみたら ... [続きを読む]
しかし、世界中で10人くらいしかみてないんじゃないかと思うくらいブログ記事が少ないな、この映画。探し方が悪いんだろうか?
それにしても、シネマいいのにさん、よう見とるなあ、こんなん。
投稿: ふじき78 | 2014年5月 4日 (日) 10時54分