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2010年6月16日 (水)

「アウトレイジ」

Outrage  「その男、凶暴につき」を観た時、北野武の映画作家としての非凡さを知ったが、ここ最近は「座頭市」を最後に不振で、特に「監督・ばんざい!」の時は、同じ時期に松本人志の「大日本人」も公開され、お笑い出身の映画監督への風当たりが強かった。
 北野武のピークは1980年代から1990年代であり、その後はその時の遺産で食いつないでいるとしか思えない。
 例えば「情報7days ニュースキャスター」では、ギャグも昔のを焼き直しているだけで今更感も強く、何故起用されているかわからないくらいだ。
 もちろん、彼の年齢で昔と同じものを求めるのは無理であり、それは彼に限らず年を取れば体力・思考力が落ちるのは当然だ。
 その代わりに経験値で何とかするのだが、北野武の場合、映画に関しては下積みがないので経験値が乏しい。
 何しろ本業ではないから。
 そうなると、今までの得意な分野で焼き直すしかないだろう。
 映画監督として北野武の得意とするのは、やはり初期の映画でお馴染みの暴力だ。
 逆に真っ向から笑いを取ろうとする映画は面白くない。
 おそらく漫才師としてのテンポはあっても、映像のお笑いのテンポは別なのかもしれない。
 そんな彼の新作は、初期のような暴力映画だ。
 巨大暴力団組織・山王会組長が、若頭の加藤に、直参である池元組の組長・池元と直系ではない村瀬組との親密な関係に文句を言う。→加藤から池元へ村瀬組を締めるよう指示。→池元は配下の大友組組長・大友にふる。→大友がしめる…ここから裏切りや駆け引きを含む暴力が暴力を呼び負のスパイラル状態になっていく。
 厄介な仕事を下に丸投げというのがヤクザも普通の企業も変わらないのが微笑ましい。
 ただこの映画のヤクザは拳銃を持った中学生の喧嘩の方が近いかもしれない。
 やっぱり北野武は暴力映画が面白い…といいたくないのだが、これまでの不発続きだとそう感じてしまう。
 今までの焼き直しかと思えば、実は新しいこともやっているようで、今までだと少ないセリフで描いていることが多かったが、今回は全編しゃべりっぱなし。
 それも必ず語尾に「バカヤロー」とか「この野郎」とかがつく。
 キャッチコピーの全員悪人は、どちらかというと全員頭が悪いの方が似合いそうだ(笑)
 突然の暴力の怖さが北野映画の面白さだが、今回の頭の悪い中学生ののような会話は、残念なことに間合いが悪くあまり効果的ではない。
 暴力シーンは痛々しさはあるものの、そこに至るまでの<溜め>がないため、怖さはない。
 もちろん、北野武もそこらへんはわかっているはずで、彼の映画は、ここ最近は映画監督が本業でないという<逃げ>を作っているので仕方ないかもしれない。
 出演は、ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、、三浦友和、國村隼、杉本哲太、塚本高史、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗。
 北村総一朗は「踊る大捜査線」では人が良さそうなのに、この映画ではヤクザのえらい人を演じており、小日向文世でもそうだが、善人そうな人が悪人というギャップの面白さは出ている。
 しかし、一番美味しいのは、やっぱり三浦友和の悪者っぷりだろう。
 若い時に比べると年とったし太ったが、若い時とは違った熟した魅力が出ていて良い。
 おそらく映画としては賛否が分かれるだろうし、これまでの北野映画の中では上位に来るものではないが、個人的には嫌いではない。
 だって、「TAKESHIS'」や「監督・ばんざい!」よりつまらなかったらもうダメっしょ。?

参加してます。よろしくで~す
   

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