「第9地区」
南アフリカのヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ20年経過。
どうやら、宇宙船の故障で、エイリアンは攻撃するつもりはないらしい。
エイリアンを難民として受け入れることになった共同居住区・第9地区はスラムと化してしまい、超国家機関MNUはエイリアンの強制移住させるため、現場責任者ヴィカスを派遣し、エイリアンたちに通達して立ち退きをさせようとする。
ある時、エイリアンの家で謎の液体を浴びてしまったヴィカスの体は変化をしていく…。
最初、テレビカメラや監視カメラ等の映像で構築していく展開に、「クローバーフィールド」みたいに観ていて気分が悪くなったらどうしようと警戒していたのだが、思った以上に揺れが激しくなくて助かった。
正直、ドキュメンタリーっぽく見せるため、ふらふらしている画面は好きになれないが、それさえ除けば、大変面白い正統派SF映画である。
1時間51分の中にこれでもかという位SFネタが盛り込まれているのだ。
UFOと宇宙人という古くから使い倒されているネタなのに、行き場のない難民状態の宇宙人というのが、近所の厄介者や、別に悪いことはしていないのに抵抗感がある外国人と同じような生活感あふれる設定なのが面白い。
自分的には町中に宇宙船というのが、「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」に出てくるマゾーンのペナントを思い出させる。
またUFOが浮いている場所が、ニューヨークとか世界的な大都市でなく、ヨハネスブルグというのが妙にリアルだ。
出てくる宇宙人もエビみたいな感じなのだが、仮面ライダーをリアルに再現したらこんな感じだと思わせるものがある。
どうも製作スタッフが日本のアニメや特撮を意識したような感じで、特に主人公が乗るパワードスーツがどう考えても日本のロボットアニメで、さらには流れ出るオイル(?)が流血みたいに見えるという石川賢の「ゲッターロボ」を実写化したようで感動してしまった。
さらに、「ET」でお馴染み故郷に帰ろうとする宇宙人、エイリアンを思わせる身体の変化、情報操作をする巨大企業、オーヴァーテクノロジーの武器…等SFファンが感涙してしまうようなネタを無理なく入れている。
それだけてんこ盛りだと、話の展開が予想できない。
何しろ定番ネタが複数入っていれば、結末も複数予想できてしまうからだ。
ただ、この映画のラストはちょっと泣けた。
監督は南アフリカ出身のニール・ブロンカンプ。
おそらく今後の注目監督だ。
異星人の居住問題は「アバター」があったが、やっぱりあれは3Dあってなんぼの世界だが、映画的にはこっちの方が遥かに面白い。
観終わった後は、かっぱえびせんが食べたくなるのは人間の業だな。
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