「ゴールデンスランバー」
仙台を舞台に首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇!
伊坂幸太郎の小説の映画化。
濡れ衣を着せられた男の話なので、「私は貝になりたい」のような陰湿な話かと思いきや、意外に明るい展開だった。
原作は未読なのでどうかは知らないが、演出がテンポ良く、さらには登場人物が誰もが色々な意味で<前向き>だからだろう。
しかし、何より主演の堺雅人がさわやかで明るい。
まあ彼が演じると半分以上は深刻でもそんな感じが全くしないのだが、この映画ではそれがプラスに働き、悩んでいるのに絶望はせずひたすら前向きで何とかしようとしている姿が必要以上に暗い展開にならないようしている。
さらに、彼を助ける通り魔(?)が「羊たちの沈黙」のレクター博士を思わせるものがあり面白い。
正に人さえ殺さなければいい奴なのだ。
演じている濱田岳がハマリ役で、「整形じゃなかったら、こんなにデコ広いわけないじゃん」の自虐的セリフがツボだった。
ショットガンを撃つ時に必ず防音対策をする永島敏行のたーミネーターのような加減なしの行動も良い。
他にも竹内結子(B80-W60-H82)、劇団ひとり、 貫地谷しほり(B83-W58-H82)などキャラ立ちまくりだ。
だけど、自分はすぐに相武紗季(B80-W60-H85)には気づかなかった。
あと、予告編で目立つ吉岡秀隆の出番は少ないので、彼目当てだと肩透かしかもしれない。
話は細かい伏線を回収し、小道具の使い方もうまいのだが、反面適当なところもあって、さらには最後までわからないこともあり、ハリウッド映画のような大逆転を期待すると、すっきりしないものがある。
友情の描き方も少年漫画みたいな感じだ。
だけど、面白いから困ってしまう。
主人公が地下の下水道を伝って逃げているのだが、自分も仕事で雨水管の中を歩いたことがるのだが、実は意外に広い。
しかし、地図があってもうまく歩けない。
やっぱり人間は知らず知らずのうちに何か目印をつけて動いているわけやね。
監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」や「フィッシュストーリー」など伊坂幸太郎作品の御用達のイメージが強い中村義洋。
ツッコミ所はあるのだが、普通の一般市民の逃亡劇と考えると、ある意味リアルなのかもしれない。
しかし、何より登場人物のキャラが立っていると少々のツッコミ所はあまり気にならない。
その意味では「たいへんよくできました」の判子はもらえる映画だと思う。
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「ゴールデンスランバー」★★★★
堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之主演
中村義洋 監督、139分 、 2010年1月30日公開、2009年、東宝
(原題:ゴールデンスランバー)
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公開年:2010年 製作国:日本 上映時間:139分
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