「今度は愛妻家」
1978年に「野性の証明」でデヴューし、その後は角川の戦略により着々と人気を獲得!
1981年の「セーラー服と機関銃」公開前後がおそらく経歴の中ではピークだった薬師丸ひろ子(B80-W60-H84)。
これまでのアイドルとは違ったタイプであり、例えば最も人気のあった時期に大学受験勉強のため芸能活動休止という前代未聞のことをやってしまったために、頭の悪い中学生の「芸能人になるから勉強なんてしなくていいんだよ」という言い訳を成立させないようにした。
その後、角川から独立、玉置浩二と結婚→離婚、今はそれなりに地道に女優業を行っている。
一見、彼女の人気がなくなったようにも思えるが、今までが異常すぎただけで、芸能人としては極めて売れっ子の部類であることは言うまでもない。
多くの人が彼女が一番かわいくて良かった映画は「セーラー服と機関銃」だというが、自分は彼女が一番魅力的だったのは「メインテーマ」で、映画が面白かったのは「Wの悲劇」だと思っている。
確かに「セーラー服と機関銃」は興行的に大当たりしたが、玄人受けする映画であり、当時観た人に面白いかと聞かれれば純粋に面白かったと答える人は少ない。
その理由の多くが相米慎二監督の長回しに居心地が悪かったからで、後に原田知世(B76-W57-H80)のテレビドラマの方が面白かったという人が意外に多い。
しかし、映画が微妙でも許されているのは、彼女の魅力が全開していたからなのは言うまでもない。
ちなみに「ねらわれた学園」も異常なヒットだったが、これは同時上映がたのきんトリオの「ブルージーンズメモリー」だったからで、お互いがお互いの人気を利用した企画の勝利であることは今更説明するまでもないだろう。
そんな彼女も「ALWAYS三丁目の夕日」では母親役を演じており、もうそんな年齢なんだなあと思うと感慨深いものがあった。
「今度は愛妻家」は、久しぶりに彼女のアイドル時代の片鱗を垣間見ることができる貴重な映画だ。
かつては売れっ子カメラマンだったが、今は写真も撮らずにダラダラ過ごしている夫と、正に世話女房タイプの妻。
そんな2人の結婚10年目を描いたもので、最初は夫婦のほのぼの物かなと思いきや、後半の予想しない展開には驚き!
しかし、それが最大の見所ではなく、その後が本当の核心というのには驚いた。
そして思い起こせば、それまでのものが全て巧妙な伏線が張り巡らされているのだ。
それでいて、夫婦の愛情が痛い程伝わってくる。
これには泣けた。
薬師丸ひろ子は、若い時と違ったかわいさがあり、彼女が永遠のアイドルであることを認識した。
共演で、ぐうたらな夫役には豊川悦司との掛け合いも絶妙だ。
もっともトヨエツの役作りがやりすぎでおしゃれなトニー谷にしか見えないのが笑える。
しかし、何よりも光っていたのがオカマ役の石橋蓮司であることは言うまでもない。
間違いなく助演<女優>賞ものだ。
監督は「北の零年」や「世界の中心で、愛をさけぶ」の行定勲。
色々な意味でもう一度観たい映画だ。
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「今度は愛妻家」★★★★
豊川悦司、薬師丸ひろ子主演
行定勲監督、131分 、 2010年1月16日公開、2009年
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製作:2009年日本
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