「アサルトガールズ」
世の中にはどう考えても過剰評価されている映画監督がいて、その概念は人によって違うと思うが、自分の中ではクエンティン・タランテイーノと、間違いなく押井守だ。
特に押井監督は、アニメに関しては「攻殻機動隊」から後に当たりなし、実写は、100%というゴルゴ13の狙撃成功率より高い確率で面白くない。
特にここ最近の彼の関係した作品はヘタな学生の自主映画のように独りよがりでつまらない。
さらに本人が面白いと思ってやっていることが、どう考えてもズレているのだ。
例えば「立喰師列伝」での切り絵みたいな”オシメーション#と言われている表現方法はもちろん、「うる星やつら」でやった立ち食いの話が今更やることかどうかといえば、全くその必然性が感じられない。
もちろん、本人だってわかってやっているんだろうし、熱狂的な信者はその押井節を楽しめばいい。
自分は作家の信者ではなく、一つの作品ごとに観ていくので、それがベテランだろうが新人だろうが関係がない。
だけど観ないと評価ができない。
そんなわけで、「Avalon アヴァロン」以来、約8年ぶりの実写映画。
仮想ゲーム空間を舞台に、それぞれに独自の戦闘能力を駆使する屈強な女ハンター3人と1人の男が、不本意ながらパーティーを組み巨大モンスターに戦いを挑む…という極めて単純な話。
上映時間も70分なので、サクッと観ることができるはずである。
ところが、体感時間では物凄く長く感じてしまうのだ。
その理由は至って簡単!
面白くないから。
最初に10分もかけて、状況説明をしているところでペース配分的に萎えてしまった。
その後、やっと本筋が始まるのだが、全体的に緊迫感がない。
それもそのはず、仮想世界の話なのでどこまでいってもゲームでしかなく、命懸けではない。
そのため、どこまでいってもユルいので緊迫感なんかあるわけないのだ。
もちろん、仮想世界の話なので当然とはいえ、モンスターを倒すという極めてシンプルな話なのに、緊迫感も生活感もないのではどうしようもないし、雰囲気だけのPV的なものと考えるんだったら上映時間が長すぎる。
「Avalon アヴァロン」が面白くなかった自分としては、その延長線上にある世界を舞台とした話が面白いとは思えるわけがないのだ。
出演は、女狙撃手グレイに黒木メイサ(B80-W58-H82)、変幻自在に姿を変える女魔導師ルシファに菊地凛子(B83-W62-H85)、馬を駆りアサルトライフルを携える女戦士カーネルに佐伯日菜子(B76-W57-H80)、巨大な対戦車砲を担ぎながらさすらう大男イェーガーに藤木義勝。
ちなみに菊地はセリフがないどころか、あまり意味がない存在。
押井監督は「きれいな女優が撮りたかった」と言っていたらしいが撮れていない。
例えば佐伯日菜子は、金子修介が既にきれいに撮っていて、足元にも及ばないのだ。
唯一良かったのは黒木の尻のラインか。
まあ、色々考えたけど、結局いつも通りの惜しい、いや押井監督の映画といえばその通りで、これはもうお約束というか伝統芸みたいなものなんだろうなあ。
だけど、やっぱり昔の劇場版「パトレイバー」みたいに何度でも観たくなるような麻薬的な面白さがある作品を観たいと思ってしまうし、わかっていても新作ができる度に観にいってしまうのが悔しい。
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