「僕らのワンダフルデイズ」
ガンで余命半年と知ってしまった中年男が、高校時代の仲間とバンドを再結成しコンテストを目指す…。
今年になってどれだけ難病物を見たことやら。
1970年代も一時期は難病物ばかり公開されたこともあったが、今年はさらに上回っている。
この映画もカテゴリー的にはそうなのだが、実はちょっとひねりがある。
相変わらず余命少しの割りには妙に元気のある病人が出てくるのはお約束なのだが、この映画はそこに重点は置いてなくて、中年親父の悲哀を描いている。
彼らは高校時代にバンドをやっていたが今はやめて、それぞれの人生を歩んでいる。
子供との関係がうまくいってなかったり、商売の資金繰りがうまくいってなかったり、母親がぼけてきたり、色々問題を抱えている。
よくある話だ。
だからといって、高校時代が人生のピークというわけでもない。
まあそれ以上に中年は体にガタが来始める頃なので、主人公が病気が発覚して落ち込んでいるのは、他人事ではないので笑えない。
中年の人生が先が見えかけているのと、高校時代の子供の時代の終わりがシンクロしていることがわかると、この映画の面白さがわかるのだが、ここらへんは、若い人だと若干解り辛いかもしれない。
もっともそれをわからせるのが演出の腕なんだけどね。
出演は竹中直人、宅麻伸、斉藤暁、段田安則など全く若者相手にしていないキャスティング。
いつもくどい演技の竹中だが、今回は控えめ。
さらにミュージシャンの稲垣潤一が出演しているが、これが異常な浮きっぷりなのだが、これはもう演出で狙ったとしか思えない。
監督は星田良子。
難病物ではなく、中年青春映画として観ればそれなりに面白い!
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