「TAJOMARU」
芥川龍之介の「藪の中」の映画化。
名家の次男に生まれたが、兄や親友、愛した女から裏切られた男が、稀代の盗賊・多襄丸となるまでを描いており、アメコミのヒーロー物を思わせる展開。
「薮の中」といえば、黒澤明監督の「羅生門」の原作として有名だが、実は自分はヴェネチア映画祭グランプリをもらったのにもかかわらず、この映画があまり好きではなかった。
ところが「TAJOMARU」を観て、「羅生門」の面白かったがよくわかった。
「薮の中」の面白さは、登場人物が誰が真実を語っているか答えを出さず曖昧にしていろいろ考えさせるのが面白さはなのだが、この映画はその面白さはなく、どちらかといえば多襄丸のかっこいい生きざまを見せるものになっている。
ところがそうなると、途端に引きが全くなくなってしまう。
キャッチコピーの「絶対に女を捨てない」というのであれば、何が何でも捨てないし守らなくてはいけないのだが、残念なことに、この映画はそれの何が何でもの度合いが少ないので、緊迫感が少ない。
まあそれ以前に「女を捨てない」ではなく女に捨てられちゃったんだけどね(苦笑)
あと、別に重箱の隅をつつくわけでもないのだけど、先代の多襄丸が主人公の縄をはずして、逆に刺されてしまう…って縄をはずその行動がよくわからないし、それで名前の引き継ぎも変だし、死ぬまでが長い。
盗賊とお姫様の一部始終を見ている人物とか、皆が血眼になって探しているものが、実は普通ならすぐに見つかるはずなのにそうでなかったり、刀を折ってしまう大刀の設定なのに、あるシーンでは互角に戦っていたり、家に拘らないと言う割りには人一倍拘る主人公とか…結構話の流れ的に致命的なものが目立ってしまうのが惜しい。
出演は小栗旬、柴本幸(B78-W59-H82)。
せめてチャンバラシーンが迫力あればなあと思っていたが、監督が「SF サムライ・フィクション」や「RED SHADOW 赤影」などダメダメ時代劇の中野裕之なので仕方ないと納得してしまった。
参加してます。よろしくで~す
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