「カムイ外伝」
いや映画そのものも地獄で、カムイというより寒いんですけど…。
白土三平先生の漫画の映画化。
ここ最近の時代劇映画ラッシュの真打登場…になるのか?
抜忍となったカムイは漁師の半兵衛を助けた縁で、彼の家に住むことになるのだが、彼の妻も実は抜忍で、カムイを追忍だと考え気を許さなかった…。
壮大な原作を2時間以内にまとめるのは至難の技だと思っていたら、ナレーションと説明臭い登場人物のセリフでわかりやすくなっている。
反面、それが裏目に出て安っぽくなっていることも確かで、言うほど忍者の非情の掟や、理不尽な差別などが伝わらない。
そこらへんは申し訳程度で、アクション三昧でガンガン展開してくれればいいのだが、それも、ゆるいCGとワイヤーアクションで迫力がない。
もっといえば、本来忍者の術や動きが嘘臭いものなので、もっともらしく見せなくてはならないのに説得力に乏しいのだ。
確かに最後のアクションは迫力はあるのだが、もっと時代劇の動きは様式美を大切にしてほしい。
さらにアクション以外のCGにも違和感があり、サメとか、海とか、海に浮かぶ船など、実は一番力を入れなくてはならないものがダメダメになっている。
話も切羽詰まってないし、散漫なので困ってしまうのだ。
半兵衛が殿様に捕らわれるのだが、もともと彼が殿様の馬の足を切る方が悪いので仕方ないかなあと思ってしまうので、ちょっと話に説得力に欠けるし、感情移入がしにくい。
でも「ゴッドファーザー」以来久しぶりの馬の切り落としネタだなあ(苦笑)
主演の松山ケンイチは全く悪くなく、むしろ彼の起用がなかったら、この映画はかなり辛いと思う。
その他、小雪(B83-W58-H85)や大後寿々花(B72-W59-H82)、伊藤英明(最初、江口洋介かと思ったよ)、小林薫も好演だったと思う。
ただ、土屋アンナ(B85-60-H89)は、ただでさえバタ臭く時代劇に向かない顔でミスキャストなのだが、それ以前に彼女の演じる役が全く不必要な登場人物なのだ。
脚本の宮藤官九郎は、適材適所から考えると、この映画に一番向かないと思うのだが、
さすがにプロだけあってそつなくこなしているが、彼ならではの斬新な話展開はない。
監督が崔洋一なので、「血と骨」のような殺伐とした雰囲気はあったんだけどね。
やっぱりエンディングの歌はちょっとでもアニメ版「忍びのテーマ」を使うべきじゃない?
「スパイダーマン」は、ちょっとだけだけど、そこらへんの心憎いサーヴィスはあったぞ。
差別ネタとグロのシーンが多いので、地上波での放送はないか、相当編集するだろうなあ。
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[カムイ外伝] ブログ村キーワード
記事投稿日時 2009年9月14日9:24
※上映開始日を投稿日時に設定。上映開始1週間後まで固定。
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カムイ外伝
監督: 崔洋一
出演: 松山ケンイチ、小雪、大後寿々花、小林薫、伊藤英明、佐藤浩市
公開: 2009年9月
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☆遅ればせながら、観て来ましたよ^^
◇
私は、『カムイ伝』は小難しいので読んでいないが、『カムイ外伝』は、昔から愛読していた。
でも、途中から、絵が漫画調から劇画調になったのが気に食わなくて、劇画調になってからの四巻以降は古本屋に売ってしまった。
でも、「変移抜刀霞斬り」が破られる物語は、劇画調になってからなんだよね。
予告編で「変移抜刀霞斬り」や「飯綱落し」は再現されているのが分かったけど、「変移抜刀霞斬り」が見切られた後にカムイが開発する「十文字霞崩し」は見られるのでし... [続きを読む]
» mini review 10445「カムイ外伝」★★★★★☆☆☆☆☆ [サーカスな日々]
白土三平原作の傑作コミックを『血と骨』の崔洋一が実写化したアクション娯楽大作。忍びのおきてに背き、たった一人で追っ手から身をかわす不屈の主人公の苦悩と孤独を浮きぼりにする。孤高のヒーローをその抜群のセンスで演じるのは、『L change the WorLd』の松山ケンイチ。ヒロインを『ラスト・ブラッド』の小雪が演じている。人気脚本家、宮藤官九郎と監督が共同で手掛けた脚本からあふれ出す人間味に満ちた物語に圧倒される。[もっと詳しく]
白土三平はもう一度、カムイ伝を本格的に描くことが出来るのだろうか... [続きを読む]
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ところが、意外に評判は悪く・・・・・
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細切れでも・・・・問題なしとは、これいかに?... [続きを読む]
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