「MW-ムウ-」
手塚治虫先生は「鉄腕アトム」や「ブラック・ジャック」で有名だが、一方では青年誌に野心的な作品を発表しているのは今更言うまでもないだろう。
16年前、ある島の島民全員が死亡する事件が発生したが、この事実は政府によって隠匿される。
しかし、奇跡的に2人の少年が生き残っていた…。
あの「MW」を映画化!
しかし、一部設定を借りただけの別物といっていいだろう。
例えていうならイアン・フレミングの原作はあって、登場人物とか一部設定は同じものの全く別の「007/黄金銃を持つ男」や「007/ムーンレイカー」みたいなものと思ってもいいだろう。
登場人物の名前も原作と似ているけど違うし、女装癖や同性愛など物語の重要な要素も全く存在しない。
玉木宏と山田孝之が出演で、夏休み直前の大作映画で売ろうとしているのに、そんな一部の原作マニアや腐女子だけが喜びそうな要素を入れるわけがないのだ。
そうでなければ、原作とは全く違うが、これはこれでありだと思わせればOKなのだが、残念ながらこの映画はそうではない。
根本的に主役2人のつながりの描き方が弱い。
山田が扮する神父が悪事とわかっていても手伝う理由とか、玉木演じる銀行員が神父と一緒にいる気持ちが伝わってこないのだ。
それは申し訳程度でアクションが面白いかというと、これが微妙で、最初のタイでのカーチェイスがやたらと長いが迫力がなく、物語上意味がなくて、上映時間の配分から考えてもバランスが悪い。
さらには、大きな秘密が隠されている島やアメリカの軍事基地に物凄~く簡単に入れたり、手榴弾の爆発に時間がかかったり、上空で飛んでいる飛行機のゲートを開けても全く風がなかったり、ツッコミ所満載だ。
ラストも続編作る気満々なのだが、映画の構造上そんな展開にならないはずだし、そんなのが許される手塚キャラはロックだけでしょ。
主演の玉木宏は意外にメガネキャラが似合うし、細身の割りには筋肉質で、実は意外に及川ミッチー路線もいけるのではないかと思ってしまう。
山田孝之は、ここ最近妙に不精髭の小汚い雰囲気の役作りが多いのだが、神父なのでせめてこざっぱりした方がいいと思うぞ。
監督の岩本仁志って誰?と思って調べたら「明日があるさ THE MOVIE」の人だった。
あれも、微妙な映画だったなあ。
MWの秘密とそれを使った陰謀を企てる男とそれを阻止する神父の壮絶なアクションで徹底した方が良かった気もするが、もし続編を作るのなら、もっと弾けたものを希望!(そうなると手塚先生の原作なんか全く関係がないのだが…)
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「MW -ムウ-」★★★
玉木宏 、山田孝之 主演
岩本仁志 監督、2009年、129分
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