「おと・な・り」
都会の古いアパートで隣り同士のカメラマンとフラワーデザイナーを目指して花屋のバイトをする女性。
2人は顔を合わせることもなく、互いの生活音だけを介して次第に惹かれ合っていく…。
隣り同士がお互いをよく知らないってドテラマンですか?(笑)
主演は岡田准一と麻生久美子(B80-W59-H83)、共演は谷村美月(B82-W56-H80)、池内博之。
監督の熊澤尚人は、相変わらず岩井俊二のパチモンぶりを発揮しているが、岩井俊二の映画よりいいのは、カメラを振り回さないところか。
生活音だけで人を好きになるわけないだろ!というツッコミはもっともだが、あくまでもファンタジーであり、そうでないと、欠陥住宅としか思えない防音設備が全くないも同然のアパートなんかあるわけないし、普通若い女性は住まないでしょ?
もちろん、何かしら住んでいるもっともらしい理由もないし、それだけでも無理な設定なのに登場人物の行動も不自然極まりない。
これをファンタジーと言うには厳しいし、そもそもファンタジーはご都合主義のことではない。
基本的に熊澤監督の映画は「ニライカナイからの手紙」でもそうだが、やりたいことが先走って細かいところにツッコミ所が多い。
だから彼のやりたいことが観客の心の琴線が触れないと、あのぽわ~んとした世界がかなり居心地が悪くなってしまうのだ。
自分は「ニライカナイの手紙」は全くダメだったが、「虹の女神 Rainbow Song」は心の琴線に触れたのでOK!
しかし、この映画は前半がかなり辛くて、これはダメかなと思ったが、後半何とか持ち直しそうになりつつ終わったという中途半端な状態だった。
二人の意外な関係もいきなりすぎというか、典型的な逆算脚本になっているのが惜しい。
音にこだわっているのに、音を生かしきれていない。
もし本当に音に拘るならなら、BGMは使用するべきではない。
昔、「テレーズ」という、BGMはなく、静かな修道院の中できぬ擦れさえも明確に聞こえるくらい研ぎ澄まされた音の使い方の映画があった。
少なくとも音を前面に出すなら、もっと工夫が必要で、コーヒー豆を挽く音とか、時計の音とかでもいいが、あまりにも生活感がないし、かといってトイレの音とか生活感を出た時点でリリカルな世界が成り立たない。
音が漏れ聞こえるという状況の作り方がうまくないのだ。
そしてそれがこの映画のキモであるのに成り立っていないので、後半にどれだけがんばっても巻き返しができないのだ。
確かに、登場人物それぞれの相手がいつもいないという構造は面白いのだけどね。
個人的には谷村美月が演じるカメラマンの部屋に押しかけてくる女が死ぬ程うざく、またただでさえ無理のある設定がさらに無理が出てきてしまった。
ところが意外にも最終的にこの映画で一番好きになってしまったキャラだったりする。
でも、最初、上野樹里(B80 W58 H85)が演じていると思ってたんだよね、テヘ(「笑う大天使」を思い出したか?)
ファミリーマートでこの映画のポスターが貼ってあったのは協賛していたからだとわっかったが、少なくとも多くの人はマイナスイメージになったと思うぞ。
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