「誰も守ってくれない」
かつては日本映画の興行成績を塗り替え、作品的にもそれなりに面白かったフジテレビの映画だが、ここ最近は何か勘違いというかズレた感じのものが多く、「西遊記」とか「少林少女」なんか公共の電波を使っているとは思えないくらいの宣伝をし、さらには面白くないという状態。
まあ日本に限らず映画はもはやテレビ局が関係していないと成り立たないし、そうでない場合はひっそり公開されて終わりというような状況だ。
「誰も守ってくれない」はフジテレビが関係する映画で、映画公開日にスピンオフのドラマをやったりして盛り上げている。
タイトルが今の状況と重なって面白い。
今は「誰も守ってない」「誰も雇ってくれない」状態で、偶然ながら時流に乗っている。
兄が殺人犯となった妹と、彼女をマスコミや世間の目を避けるための保護することを命じられた刑事の逃避行を描いた作品だ。
被害者ではなく、加害者側の人間を守るというのがミソ。
久しぶりにフジテレビが関係の映画で面白いと思った(当社比)。
内容が内容だけにそれぞれの言い分はあるわけで、観ている方としてはどんな落としどころで見せるのかが興味深々というところだ。
自分としては、加害者は当然自分だけでなく家族も責められると思うし、仕方ないと思う。
もちろん、何も罪を犯してない家族は関係ないのはわからないでもないのだけどね。
映画は当然結論は出ないし出ない。
ところ残念なことにツッコミ所は満載で、パトカーとマスコミのカーチェイスとか、警察が犯罪者の家族を保護するのに、少女を隠すセーフハウスがないとか、ネットの誹謗中傷が、あまりにも一方的な決めつけのイメージだったりとか、その他にもご都合主義が目立つ。
主演は刑事役に佐藤浩市、保護される少女に志田未来。
この二人は本当にいい味出している。
未来ちゃんは、マジでかわいい。
共演は松田龍平、佐々木蔵之介。
松田の素行の悪そうな刑事役がかっこいい。
佐々木は本当に「007/慰めの報酬」の敵役に似ているので、この映画と合わせて観ると笑えること間違いなし。
ただし、この映画では何のための登場人物かはよくわからず、いじめで不登校の息子の話が何も生かされていない。
監督は「踊る大捜査線」の脚本家・君塚良一。
この人は脚本は面白いのに演出をするとイマイチなのだが、今回は今までの彼の監督作品の中では一番面白いと思う。
ドキュメンタリー・タッチということらしく、ほとんどのシーンが手持ちカメラなので、あまり前の方で観ると気持ち悪くなる可能性があるので注意!
というか、何故リアルとかドキュメンタリーっぽいとかになると手持ち撮影になるのだろう?
それってただの思い込みで言うほど緊迫感は出ていないと思うし、ドキュメンタリー・タッチという割りにはご都合主義と誇張が目立ち過ぎ。
ネットに書き込みしている奴とか、掲示板や動画のサイトが記号化とデフォルメしてわかりやすくしているといえば聞こえはいいのだが、少しやりすぎの感じもあり。
ただ取り扱っているテーマが誰にでも考えさせられるものなので最後まで観ることができてしまうのだ。
個人的には面白かったのだが、おそらくきちんと演出ができる人だと、もっと面白くなると思う。
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