「まぼろしの邪馬台国」
吉永小百合は、ある世代にとっては女神であり、日本映画に貢献してきたことは重々承知している。
しかし、ここ最近の彼女の役柄は異常だ。
とにかく1945年生まれなのに、30歳位若い役を演じていることが多く、それがもはや特殊効果に近いメイクをしても、違和感を拭うことができない。
確かに女優はどんな年代でも演じきらなくてはならない。
しかし、それにも限界があるはずだ。
特に映画は演劇とは違い、見たまんまのリアルさというのがあるのだが、もはや彼女の存在が浮きまくっている。
「北の零年」では、どんだけ高齢出産なんだというくらい小さな子供がいて、いくら女がいない開拓前の北海道だからといって、若い石田ゆり子(B83-W59-H85)そっちのけで、モテまくりだし、「母べえ」では浅野忠信が憧れる人妻役だったのだが、浅野の年齢から考えると、どんだけババコンなんだよとツッコミを入れてしまうのは仕方ないだろう。
「まぼろしの邪馬台国」は盲目の郷土史研究家・宮崎康平と彼を支えた妻の話で、吉永は当然妻の役だ。
彼女がNHKの声優で宮崎と知り合うところから始まるのだが、これがまた若い時の設定を演じるので若作りのおばさんにしか見えない。
ここが映画に入り込めるかどうかの分かれ目であり、ここで宇宙人が地球人に化けているような感じを覚えるともう終わりだ。
映画は、宮崎康平の生きざまを描くのか、彼を支えた妻の話なのか、邪馬台国の話を描くのかはっきりせず、本来なら宮崎康平の人生を描くのが正解なのだが、吉永の見せ場を作らなくてはならないので一本筋が通らない。
吉永小百合で資金が集まっている映画なのに、彼女のせいで映画が大変不自然になっている。
最後に吉永が卑弥呼の格好で出てきたのには脱力してしまった。
結局、この映画は吉永小百合のアイドル映画でしかないことを実感した。
唯一、救われるのは窪塚洋介と柳原可奈子(B102-W87.8-H101.5)のエピソードだ。
柳原は窪塚とのキスシーンとか意外に美味しい役だが、それがコメディというわけではなく、物語の良いクッションとなている。
また、この二人が主役夫婦とうまく対比させている構成は悪くないと思う。
監督はここ最近は何でも演出しているイメージが強い堤幸彦。
もっと面白くなりそうなのに吉永小百合の存在で大変惜しい映画。
とにかく、彼女は年相応の役を演じてほしいし、制作側も彼女に合っているかどうかを真剣に検討して起用してほしい。
それでも間違いなく、今年の色々な映画関係の賞では主演女優賞候補なんだろうなあ。





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