「リダクテッド 真実の価値」
自分の中では、ブライアン・デ・パルマの監督作品は、大規模公開されるものだと思っていたが、この映画は意外にひっそり公開されているので驚いた。
ヘタすると見逃した可能性は大きい。
イラク戦争で実際に起こった米兵による14歳の少女レイプと彼女を含む家族惨殺事件を元にした衝撃作。
「カジュアリティーズ」と言うなかれ。
同じような題材で映画を撮らなくてはいけない今の状況を考慮するべきだ。
物語、兵士のビデオダイアリーの映像を中心に、報道、監視カメラ、YOUTUBEを思わせる動画などを駆使してドキュメンタリーっぽく見せている。
これで妙なリアリティを出している。
昔と違い、一部のものだった映像も今は色々なところに溢れ、ネットの普及で誰でも世界に配信することができる。
誰かに見られて誰かに見せられているのだ。
そういう意味では面白いと思うのだが、最近はこういう演出が多すぎて、ちょっと食傷気味だ。
すいません、自分の場合、手持ちと長回しが好きじゃないんだよね。
ふらふらしている手持ちの映像がドキュメンタリーチックだとか、リアルだとかの記号になりつつあるのだけど、この認識はもうそろそろ改めて欲しいし、さらに昇華した演出を観たいものだ。
この映画の面白いところは、映画学校に入学をしたいと考えている兵士が、検問所勤務なので迫力のある映像が撮れないと悩んでいるところで、戦場に来て何考えているんだかと思いつつも、逆に映像よりも彼の存在が妙にリアルだった。
戦争も長かったりドンパチがなければ慣れてしまって、実際にこんな奴が出てきそうなんだよなあ。
観ていてあまりにも生々しく辛かった。
この手の映画の脚本はリアリティを追求しすぎて、素材の羅列になってしまうことで、そうなると眠くなってしまう。
他人の撮りっぱなしのビデオを見せられると、とりとめがないので退屈で眠くなってしまう時があるのだけど、あれと同じ効果が生じてしまうのだ。
さすがに、この映画は編集が巧妙なのでそんなこともないのだが、自分の座席の前の客が爆睡していたので、人によっては微妙なのかも。
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「リダクテッド 真実の価値」
■製作年:2007年
■監督:ブライアン・デ・パルマ
■出演:パトリック・キャロル、ロブ・デヴァニー、イジー・ディアズ、タイ・ジョーンズ、他
※2007年ヴェネチア国際映画祭・銀獅子舞賞
ブライアン・デ・パルマ監督の「リダクテッド 真実の価値」を観てきました。最近は映画館へ足を運ぶことがめっきり減ってしまったのですが、久しぶりの映画館での観賞は、デ・パルマ監督がイラク戦争をテーマにがっぷりと四つに組んだ作品で、とてもヘビーな内容のものでありました。
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